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地域系学部というのに加わった大学教員による高知発モンゴル発のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

第29回全米サービス・ラーニング年次大会参加記(3)大会第1日前半

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 アメリカも3月11日になりました。デイライト・セービング・タイム*1が始まったので、朝6時と言っても外はかなり暗いです。今日からいよいよ大会開始、さぁどうなることか。

 

 

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 大会が行われるのは、セントポール市中心部のいかにもグレードが高そうなホテル。日本の(私が参加するような)学会のように、大学のキャンパスを間借りするものとは違います。そしてその分、参加費も日本では考えられない高さだったりします。

 

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 ホテルに入ると、参加登録所の案内が出ていました。エスカレーターで地下に行くように、とのことです。登録所のカウンターに行って所属と名前を告げると、資料の他にネームタグとTシャツを貰うことになります。サイズを聞かれた時に、日本人とアメリカ人の体格の差からしたらSでも十分かと思ったのですが、見栄を張って(?)Mサイズを貰うことに。ただ、後で来てみたら少なくともダブダブということはなく助かりました。

 

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 登録所の近くに、3日間のスケジュール表が立っています。初日と2日目はこの会場で開催し、3日目は希望者がセントポールミネアポリスでデイ・オブ・サービスに参加します。

 

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 大会中は各セッションで報告やワークショップを行うほか、ポスターによる報告や各団体の活動紹介、あるいは各テーブルでのミニ体験コーナーという感じの企画もあります。中身は防災に関する体験教室だったり、人形作り、ペットのおもちゃ作りなどさまざまで、それらを通じて各団体が取り組んでいる課題や対策について理解を深めるというものです。

 

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 今回の大会では朝食と昼食、おやつ(とはアメリカでは言いませんが、まぁ時間帯がアフタヌーンなので)が提供されます。ビュッフェ形式になるのですが、とにかくパン・ベーグルなど穀物が多く、フルーツはあるのですが野菜が見当たりません。とりあえずヨーグルトを添えてお茶を濁してみましたが、これが何日も続いたら栄養過多になるか知らんという不安が、ポートランド訪問時に続いて頭をよぎりました。

 だったら節食すりゃ良いんですが、せっかくなので食べたいものは食べたいというこの矛盾。せめてものカロリー消費に、機会を見つけて歩き回るようにしないといけません。

 

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 さて、いよいよセッション1が始まります。私が参加したのは「分断を越える対話」というワークショップです。ヘイトデモや銃規制等、アメリカでも国を分断する問題があるのですが、そこで立場が分かれる人々の対話をどう引き出すか、というのがワークショップの趣旨です。

 当方、高知大学地域協働学部では「協働」を「自律した人や組織同士が立場や利害を越えて共に考え行動し、単独では解決できない共通の課題を解決し、新しい価値や創造物(成果)を産み出す関係や行動様式(営み)」と定義しています。それだけに、このワークショップはまさに我々が参考とすべきものですし、いきなり参加する意義の深いワークショップに出会えたのは良かったです。

 ただ、ワークショップなので「出席」ではなくて「参加」なんですよね。つまり聞くだけで済むんじゃなくて、作業や議論に加わらないといけない。しかもセンシティブな問題について、自分の立場を説明しないといけないんです。当然英語で。なので非常に勉強になった反面、いきなり疲れました……

 

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 休憩時間に会場を歩くと、スリー・ビルボード、じゃなくて立て看板が3つ並んでいました。それぞれ、サービス・ラーニングに関する表彰者を掲示しています。具体的にどういう功績があったかは知らないのですが、何はともあれおめでとうございます。

 で、休憩時間後、午前中にはもう1つセッションがありました。こちらではルーキー・トラックというジャンルのレクチャーに出席しました。いまいちよく分からないのですが、発表者がルーキーということでしょうか(他にそれっぽいのが無いですし)。タイトルは「すぐに使えるサービス・ラーニングの省察:アセット・ベースのデザイン思考フレームワークというものです。英語そのまんまのカタカナと謎な熟語ばっかりで、なんちゃ分からんと思われた方、大丈夫です。私も分かっちょらせんので。

 ……というのは流石にマズいので、ここでいくつか解説を入れさせてください。めんどくさい方は、次の写真まで飛んでいただいて結構です。

 まず、出発点となるサービス・ラーニングについて。サービス・ラーニングに取り組んでいる教育機関によって、サービス・ラーニングの定義は微妙に異なるのですが、それらの出発点と位置づけられるのが、アメリカで制定された「1990年全国及びコミュニティサービス法」(リンク先PDF)です。このセクション101、(40)に「サービス=ラーニング」*2の定義が示されていて、その内容を乱暴にまとめると、

 

  1. 地域社会(コミュニティ)の必要に応じて教育機関が調整する市民としての義務感を促進するべく周到に組織された社会奉仕活動に、学生・生徒/参加者が能動的に参加する手法
  2. コミュニティへの奉仕活動が教育カリキュラムや教育の構成要素に統合され、それらを高めるとともに、奉仕活動の経験を省察する時間が計画的に与えられている手法

 

 だそうです*3。これでも難しい言い回しになっていますが、さらに乱暴に言えば、単に社会奉仕活動をやればOKってもんじゃなくて、学外での活動を特定の授業・科目全体の中で計画的に位置づけること、それらの活動を省察する時間を必ず設けることのどちらも満たしていないとダメ、ということです。サービス・ラーニングに携わる者として、出発点としては納得できるものです。

 さらには、サービス・ラーニングは市民社会の担い手としての意識を育てるものでなければならない、ということも大事です。この点を踏まえれば、サービス・ラーニングは「ご奉公」の正反対に位置するということがご理解いただけるでしょう。両者は似て非なるもの、どころか、同じであってはならないのです。

 そして、ここで大事なポイントの1つが「省察する」(reflect)というものです。前にも書きましたが、サービス・ラーニングはあくまで「ラーニング」、学ぶという行為の1つです。

 

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 そうであるからには、学外で活動して何を得たのか、そもそもどういう意義があるのかを学生・生徒が考える時間がなければならないのです。それが「省察」というものです。

 省察の方法はいろいろなものが考えられます。例えば高知大学地域協働学部の場合、必修の実習授業には学内での学習が必ず、それも授業時間の4~5割程度含まれていて、かつ複数回のレポート・成果物提出、成果報告等を課しています。そして、その省察に「アセット・ベースのデザイン思考」を取り入れてみましょう、というのがこの報告の趣旨のようです。

 ただ、「アセット・ベースのデザイン思考」というのもまたややこしい。アセットというからには資産なんですが、サービス・ラーニングでいう資産とは、学外での活動で得られたもの、ということのようです。

 そして最後の難関が「デザイン思考」。これについては恐縮ながら、率直なところ、2つの理由があって分かるようで分からない、と申し上げざるを得ません。1つは、「デザイン思考」に対する私の理解がイマイチということ。とりあえず、「課題の解決を目指して一定のステップ(これまた論者によっていろいろ分かれるようですが……)を踏んでいく思考方法」ぐらいには理解しているのですが、本当はもっと詳細なもののはずで、その辺はまだ十分分かっていません。

 もう1つは、報告から「デザイン思考」を導入する意義が伝わらなかったことです。確かにデザイン思考を取り入れた省察に対する参加者の好意的なフィードバック(感想、コメント等)は示されていたのですが、それがデザイン思考を取り入れたからなのか、省察の機会があったから等のほかの理由なのか(この場合デザイン思考は関係なくなる)が判別できなかったからです。この辺を質問できればよかったのですが、時間と英語力の制約に阻まれました(苦)

 

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 解説を読み飛ばされた皆さん、お久しぶりです。セッション2終了です。この後はフロアの展示を見て、昼食会に移ります……が、ここまで書いて、正直力尽きましたorz

 というわけで、今回はこのくらいにしといちゃりましょう。

 

 

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*1:いわゆる「夏時間」ですが、今は冬以外ほとんどなので「サマータイム」とは言わなくなったようです。

*2:原文では"SERVICE-LEARNING"とハイフンが付いています。

*3:ちなみに、この条文は栗田 充治(2011)「大学におけるサービスラーニング(ボランティア学習)『亜細亜大学国際関係紀要』20(1/2): 257-270を通じて発見したものです。ただし、本文でPDFファイルを張ったとおり、原典も確認しております。