
佐伯行のフェリーが宿毛港に着岸しました。いよいよ九州に向けて出発です。

がらんどうの車両甲板。と言っても車の利用がないわけではなくて、歩きの乗客が車より先に入っただけです。少し待ってから甲板で改札を受けて、客室に入ります。

客室は二等船室、一等船室、ファミリールームとドライバールームに分かれています。こちらは二等船室、いかにも長距離フェリーなカーペット敷きです。奥の棚には毛布が入っていて、100円で貸し出しをしています。

当方は貧乏旅行中なので、当然二等船室へ。外が見える方が良いので、窓の近くに十分寝転がれるスペースを確保。しばらくすると、フェリーはゆっくりと出航しました。

次第に離れていく宿毛港の風景。

港を出たフェリーは、まず宿毛の海岸沿いを通っていきます。意外と、と言っては失礼ですが、家並みが続いています。

その後も湾内を進むフェリーですが、左舷側は大島が終わり、次第に海が開けてきます。さらに奥の方には、風力発電の風車が見えます。

遠くで立ち並ぶ風車。これらのある辺りは大月町、高知県西南の端の端です。

外海に出る頃には日がすっかり傾き、空は茜色から次第に暗くなっていきます。そして波も高くなり、歩いていると時折ふらつくことすらあります。

さらに高くなる波。瀬戸内海のフェリーに慣れた身には、結構しんどいです。そして波が高いということは風もあるということで、当たり前ですが冬なので、とにかくひやい(寒い)。

そんな中、せめて冬の宿毛名物のダルマ夕日が見られるかと期待したのですが、雲に遮られて海に夕日が映りません。

まぁでも、それなりに雄大な日の入りが見られてよかったと思うことにします。

足元に不安を覚えながら、船内に戻ります。エントランスへの階段には、年季の入った足摺岬の写真パネルが飾ってあります。

足摺岬の近く、竜串にある貝類展示館による貝殻の展示。宿毛フェリーの航路は足摺岬付近をかすりもしないのですが、そうはいっても九州から足摺岬への観光ルートの一部にはなりますし、何より船名がニューあしずりなので、こういう展示があるのも分かります。
一通り船内外を回ったところで、客室に戻って寝そべったのですが、まぁ船が揺れる揺れる。特急南風的なタテノリではないのですが、ゆっくりと左右に大きく振られます。乗り物酔いはしない私ですが、これで酒でも入っていたら、ちょっと危なかったような気がします。宿毛港で買い物できなくて良かったのかも知れないな、とふと思いました(ちなみに船内では酒類は売っていません)。
そうする間にうとうとしてきて、気がつけば到着時間が近づいてきました。が、ようやく入ったスマホの電波を頼りに現在地を見ると、佐伯港まではまだ距離があります。フェリー降り場から駅までは近いのですが、接続時間はあまりありません。大丈夫だろうか……

着岸のアナウンスから5分近くの後、車両甲板がようやく開きました。到着予定よりは15分遅れ、急いで駅に向かいます。

駅までは4分程で着きました。ものすごい装飾ぶりに驚いて、急いでいるのに写真を撮ったところ、急いでいたのでブレブレです。

駅に入ってみると、とりあえず乗車予定の列車には間に合ったようです。一安心して、再び青春18きっぷを取り出します。

南延岡行き、ワンマンのディーゼルカー。これで県境を越えて延岡に向かいます。