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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

高知県西南の旅(4)岬から白山洞門へ(土佐清水市)

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 岬の灯台から、海岸沿いを西に歩きます。おそらくそのうち、もとの無料駐車場に出てくることでしょうが、それまでの道程、何があるかは分かりません。

 

 

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 歩いていると、小説家田宮虎彦の文学碑がありました。短篇「足摺岬」の作者です。

 戦前、自死を思い立って足摺岬まで流れ着いた大学生。逗留した宿で人々と触れ合う中で、いつしか死を思いとどまった彼は、その後宿の娘との結婚、戦争、妻の死を経て再び岬を訪れます。物語は劇的な展開もなく、淡々と進んでいきます。ただそれが故に、物語を通して、とりわけ登場人物の悲痛な叫びを通じて、虚無感が次第に滲み出てきます。

 都会を遠く離れた四国の端の岬を世に知らしめたのは、この短篇によるところが大きいでしょう。しかし同時に、足摺岬=自殺のイメージを与えてしまったのは、予期せざる結果だったと思われます。後に虎彦自身が重病を得て、最期は(岬でではないにせよ)投身自殺を図ったのも皮肉と言えば皮肉です。

 とはいえ、敗戦直後に漂っていたであろう虚無感や無力感を捉えた佳作であることは確かです。個人的には、初版時の短篇集に収められた「落城」を先に読んでから、「足摺岬」に進むことをお勧めしたいところです。

 

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 と言ったところで、石碑は石碑でも次は一気に趣が変わります。こちらは鳩山一郎元首相(由紀夫の方ではない)が文部大臣在任時に立てたものです。どういう所縁があるのかは分かりません。

 

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 またも足摺七不思議。こちらは伸びない笹ということです。そろそろ七不思議がいくつあるのか分からなくなってきます。

 

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 岩の上に水が張っているこちらも、七不思議のひとつだそうです。

 

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 説明板によれば、こういうことらしいです。今は満潮とは言わないまでも、それなりに潮が来ているようですが、本当に潮の干満と関係があるのか、誰か専門の方に調べてほしいものです。

 

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 こちらも七不思議のひとつの亀石。天然の石を亀に見立てた例は日本以外でもありますが(モンゴルにもある)、目も口も甲羅もありますし、ここまでそのものズバリの亀は見たことがありません。

 

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 亀の次は犬だそうです。実際、岩が犬の横顔に見えなくはありません。が、七不思議の十一番?

 

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 説明はこうなっています。七不思議が膨れ上がるスケール感には圧倒されるよりありません。

 

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 道端にクワズイモが生えていました。妻の話では、小さなものは100均でも売られているそうですが、温帯で大きく育てるのは実際には簡単ではないとのこと。ですがここは亜熱帯、思う存分伸びています。

 

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 遊歩道はさらに続いていきます。もし私が目隠しをされてここまで連れられてきて、ここは東南アジアだと言われても、納得してしまう自信があります。

 

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 遊歩道の突き当りに出ました。南北双方の道との三叉路になっていて、南側に進むと視界が開け、急な下りになっています。

 

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 階段を下ると鳥居がありましたが、鳥居の先に進むことはできなさそうです。

 

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 簡単に拝礼して遊歩道の先を見ると、浜辺が見えました。断崖絶壁が続いた中、まさかの浜辺です。

 

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 降りていくと、白山洞門にたどり着きました。岩が侵食してできたトンネルを、波が寄せては返しています。

 

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 岩が集まった浜辺。これはこれでハードな光景ですが、他よりははるかにマシな気がしてなりません。

 

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 海の際まで降りてきました。ここからどう元の標高まで登るのかが気になりますが、近くにある分かれ道の階段は、草が生い茂ってもはや通行はならないようです。

 

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 ただ、遊歩道はさらに西に伸びていて、何とか上りの坂も階段もあります。とりあえず安堵して、登っていきます。

 

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 気がつけば、元の無料駐車場に帰ってきました。ここで車に戻り、宿へと向かいました。

 

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