JR日豊本線の大分・宮崎両県境の区間は、しばしば付近の駅名から「宗太郎越え」と呼ばれます。この区間は普通列車が現状1日3往復、2018年3月からは1.5往復になるという、青春18きっぷ利用者にとって難所の1つです。そんな僅かな普通列車に乗って、延岡を目指します。
列車は佐伯の市街地を離れてすぐ、山間部の闇の中に突入します。曲がりくねりながら峠を登っていき、宗太郎の手前の重岡駅に到着。ここで行き違いの列車を待つため30分ほど停まります。
山越えに挑むディーゼルカー。日豊本線は全線電化されていて、この区間を走る特急は当然電車なのですが、わずかな普通列車はコストの問題があるのか、ディーゼル1両のみのワンマンカーになっています。とはいえ車両自体にはローカル感はなく、赤一色の塗装がバッチリ決まった、なかなかにカッコいいデザイン。JR九州の面目躍如といった感じです。
重岡駅の駅舎は割合新しそうな外観です。おそらく昔あった駅舎を解体して、小さいものに置き換えたのでしょう。
駅の外に出てみました。なにせ山の闇の中、駅舎の灯りはどこにも増して輝いて見えます。
一枚板に駅名が書かれた駅名板。これも割合新しそうです。
駅の時刻表。特急は1時間に1本通るのですが、重岡駅ばかりか、佐伯から延岡の間の駅は通過。そういうわけで、この駅の時刻表に記されているのは、普通列車は早朝と夕方、夜の1本ずつです。
ただ、これも次の春のダイヤ改正で変わり、上りは1本、下りは2本が佐伯・重岡間のみの運転になります。佐伯から延岡までの運転で残るのは、上りは朝と夜の2本、下りは朝の1本のみ。重岡から延岡への普通列車は、朝7時前に出てしまえば終わりです。
■ JR九州「平成30年3月にダイヤを見直します(大分エリア)」
現状でさえ難所だった宗太郎越えが、春からはエクストリームと言っていいほどのレベルになってしまいます。相対的に乗りやすいうちに乗っておいて良かったという妙な安堵を覚えます。
そうこうしているうちに、発車時間が来ました。列車は重岡駅を出ると、まったくの闇の中を走り抜け、宗太郎から県境を越えて宮崎県に入ります。鉄道の信号以外は車窓から光がまるで見えない中、持ってきた本も読み終え、スマホの電波は入るか入らないか、いい加減時間を持て余してきたところ、ようやく街の灯がちらほらと見えはじめ、少しずつ増えてきて、ようやく延岡の市街地に入りました。
延岡到着。今日はここで投宿します。
延岡駅の改札は壁一面が木目になっていました。ただ現状改築中とのことで、駅自体がどうなるのかは分かりません。
目下工事中の駅舎のわずかなスペースに、イルミネーションが灯る延岡駅。近くのホテルに宿を取り、一夜を明かせば、宮崎県を最後に全ての都道府県で宿泊記録が残ることになります。