私には20年来温めてきた夢がありました。それが、
仕事以外でモンゴル国に行くことです。
思えば20年以上前に初めて赴いて以来、十回以上モンゴル国(以下「モンゴル」)を訪れているのですが、全て調査・研究目的の渡航です。観光という部分は無きにしも非ずですが、何の公的な縛りもないモンゴル旅行というのは一度もありません。それだけに、一度仕事を離れて、純然たる私的なモンゴル旅行に出かけてみたいという思いは早くからあったのですが、長い間空想段階にとどまっていたのでした。
その一方で、モンゴル渡航経験自体が全くない私の家族からは、いちどモンゴルに行ってみたいという声をかねてより聞いていました。ただ、仕事絡みの渡航に同行してもらうのは非常に難しく、延び延びになっていました。とはいえ、いつまでも先送りにするわけにもいきません。そんな中、溜まりに溜まっていく振替休日をどう消化するのか、という別の問題が浮上してきました。そこで、この際休みを固めてしまい、思いきってモンゴル「観光旅行」に出てみよう、ということになったのです。
地域研究者が「観光」という軽いノリで研究対象地域を訪れる、というのに違和感を覚える方もいることでしょう。特に、真面目にモンゴルを研究している方の中には、私のモンゴルに対する接し方は「お遊び」だったのね、と呆れられる向きがあってもおかしくありません。
ただそのような批判があれば、当方は甘んじて受け入れます。というか、誤解を恐れず言えば「まぁいいや」ぐらいの感覚です。とは言いながら後付けの理屈をこねると、1つには観光業の「現場」を知らずして観光業云々を言うのは怖いよね、というのがあります。
モンゴル経済が鉱業部門への過度の依存から脱却する上で、カギになる部門の1つが観光業であることは、詳しい方ならご納得いただけることでしょう。その上で、その観光業が現状どうなっていて、どのような課題があるのかを理解するためには、まずはその「現場」に赴き、その場を体感的に知ろうとするのは非常に自然で重要なアプローチなはずです。これが認められないならば、さまざまなフィールドについて「現場」に入って理解しようとする営み自体を、まったく同じ論理で否定しなければなりません。当方のノリについてどのような批判をされようが自由ですが、同じ批判はご自身にもどうぞ向けてください、ということです。
閑話休題。あれこれ調べながらスケジュールも固まり、9月15日、初めての100%指摘モンゴル旅行についに出かけることになりました。
今回は関空からインチョン経由。前職でモンゴル渡航の際に使っていたルートです。ただ、インチョン行きの飛行機は、使用機材の到着遅れで出発が延びるとのこと。公的・私的に関わらず、モンゴル旅行ははじめから珍道中の予感でいっぱいです。
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