
阪神タイガース二軍安芸キャンプ、この日は埼玉西武ライオンズB班(二軍相当)との練習試合を開催予定。プレイボールの時間がいよいよ近づいてきました。

当日のスタメン。ライオンズは当然ながら若手主体、一軍でそこそこ経験があるのは斉藤、大﨑と鬼﨑ぐらいです。一方で注目したいのがアイランドリーグ出身(長崎→香川)の水口。小兵ながら万能内野手という、一軍に1人いるだけでチーム運営が断然楽になるポジション獲得を目指したいところです。
一方の阪神は二軍の練習試合にしては豪華なメンバーです。が、裏を返せば、強化対象の若手というよりは、一軍に定着できない選手を集めた、という印象を強く受けます。もっとも、キャンプのメンバー振り分けは二軍監督の決める話ではないはずで、こういうラインナップになるのも致し方なしなんでしょうが……

阪神の先発は榎田。彼も本来なら一軍にいるべき投手です。もっとも、最近は中継ぎ登板が多かったところ、この日の起用を見る限り、先発再転向に向けてじっくり調整するために二軍スタートとなったという気もしますが。

一方、西武先発は佐藤。昨季にプロ初勝利を挙げた高卒5年目の投手です。

もっとも、私の歳になると、似たような年代の選手がもう少なくなってしまっているので、いきおい監督・コーチ陣に関心が向いていきます。こちらはファイターズでも選手として活躍した赤田コーチ。

こちらは西武と読売で長く渋い現役生活を送った黒田コーチです。

一方の阪神はというと、一塁側のボックスに入ったのは筒井コーチ。現役時代は中日から阪神に移籍、その阪神ではまるで出番がなかったのですが、引退後すぐに阪神のコーチに就任し、気がつけば11年目です。

3塁側で相変わらずの表情なのが藤本コーチ。2003年の優勝時には8番ショートで大活躍し、その後はF1セブン最後の生き残りとして現役を続けた、打てる万能内野手です。なんたってスタメン3番ファースト。

さて、試合は開始早々ライオンズバッテリーがやらかします。1回裏、先頭の緒方のヒットから暴投、さらにヒットで無死1,3塁の場面を作ると、3番伊藤隼太の打球はホームベース手前のフェアゾーンで跳ねる力のないゴロ。ここは捕手藤沢が3塁走者の動きを目で制しないといけないのですが、藤沢は何もせずにすぐさま1塁へ送球。ノーマークだった緒方は難なくホームに突入、1塁からの送球も間に合わず、打者走者はアウトにしたものの、ライオンズが1点を献上します。

このあと陽川もヒットで続き、タイガースがチャンスを再び拡げます。

そして新井良太が放った辺りは右中間フェンス直撃のタイムリー2塁打。タイガースが2点を追加します。

いっこうにペースをつかめない佐藤はさらに満塁として、小豆畑には押し出しの四球、森越には犠牲フライを打たれ、ヒットなしで2失点。何とか後続は絶ったものの、厳しい結果になりました。

2回裏、ライオンズは佐藤に代わって玉村が登板。予定外に早いイニングでの起用でしょうが、そのままでは練習にならないという判断でしょう。佐藤にとっては悔やまれる登板でした。

さて、せっかくなので球場をいろいろ見てみようと、3塁側のスタンドに来てみました。

眼下に太平洋を望むタイガース球場。景色としては他のキャンプ地に引けを取らないと思います。いや、そこで争っても仕方ないんですが。

ただ、何より見たかったのはタイガースのベンチです。

ウインドブレーカーは着ていますが、他でもないタイガースのユニホームに身を包んだ掛布二軍監督がいます。こみ上げる、というのとはちょっと違うのですが、やはり感慨というものはあります。その隣、こっそり改名していた今岡コーチも、よくぞ戻ってきたものだと。

そうする間にも試合は動きます。3回裏、2死3塁から森越の打球はピッチャー強襲、内野安打となってタイガースが1点を追加しました。

4回表、タイガースは3イニング無失点の榎田がおそらく予定通りの登板終了、2番手には田面が上がります。

その田面に対し、ライオンズは1死から愛斗がレフトの頭をゆうゆう越えるソロアーチ。後の打者が続かなかったものの、ひとまず点を返します。

その裏、ライオンズは3番手として大卒2年目の川越を起用します。その川越が2イニングを抑えれば、田面も5回表を抑え、6-1で後半に入ります。

グランド整備も終わり、先に得点したのはライオンズでした。6回表、2死3塁から戸川の打席でタイガースにバッテリーミスが出て、1点をもらいます。

その裏のマウンドを任されたのは香川オリーブガイナーズ出身で2年目の松本。スタンドにはアイランドリーグ時代からのファンもいて、期待が高まります。

しかし、阪神は新井良太が経験の違いを見せつけます。1死からディアーネット直撃弾(?)で、再び5点のリードを奪い返しました。


このあとライオンズは7回表の攻撃を無得点で負え、裏にはJR四国出身の南川が登板。7,8回を無失点で抑えます。

独立リーグ・社会人と四国出身者が相次いで登場する中、本日スタメンの水口にも注目が集まります。最終回は打線が回りにくそうな塩梅でしたが打線が奮起、無死2塁から愛斗の3塁打、1死3塁から戸川のセカンドゴロで2点を還すと、さらに後も続いて打順が回ってきました。

しかしあえなく凡退で万事休す。香川から応援に駆け付けたファンの期待に応えることはできませんでした。

これでゲームセット。タイガースが終盤追い上げられつつも、まだ余裕を持って逃げ切りました。

前後半で明暗が対照的なスコアボード。ライオンズからすればつくづく初回が残念です。

そして勝ったタイガースは、監督以下ほとんどがウインドブレーカーを脱いだユニホーム姿でナインを出迎えます。そう、31番掛布のユニホームを、再び自分の眼で著k節見ることができたのです。

スタンドに勝利の挨拶。この日は遠征組と思しき大きなカバンを持ったファンもいましたし、試合結果に関しては良かったというべきでしょう。
とはいえ、出場選手の経験値の差を考えれば、タイガースの打者陣は打てて当然、打てなかったら何をやっているのか、というところです。これが底上げや実戦経験の蓄積になるのか、と言うと疑問符をつけたくなってしまうのが正直な印象です。

とはいえ、私にとっては、子どもの頃に受けた「掛布引退」の衝撃以来、30年近い空白を埋めることができた一日になりました。

ちょっとピンボケになったのでもう1枚。

試合終了後のミーティング。
今シーズンはキャンプだけではなく、ウエスタンリーグの公式戦もあるとのこと。掛布阪神の戦いぶり、是非にでも観たいものです。
なお、前半のエントリはこちらからどうぞ。