日本人墓地跡の訪問に続いて、我々はウランバートルの市街地を抜け出します。
市街地を抜けるとすぐに草原が広がります。そんな中を快走していくと、左手に大きな像が出現しました。
銀色に輝く騎馬像。とにかく大きいのです。そんな像を作るとなれば、その人物は1人しかいません。そう、チンギス・ハーンその人です。
ここはウランバートル中心街から東、旭天鵬の出身地として知られるナライハ地区の東端にある*1ツォンジン・ボルドグというところ。ここにチンギス・ハーン像を中心とするテーマパークがあります(と言えるのか分かりませんが、他に適当な表現を思いつきません)。
どう見ても洋風建築の上に、モンゴル帝国時代の騎兵像を配したゲートをくぐって到着しました。
これがチンギス・ハーン像。周囲の人々と大きさを比べてみてください。こういう像が草原でいきなり登場するのです。
ちなみに、高さについて各所で調べたところ、台座だけで12メートル、像は約30メートル。別のサイトでは台座と像を合わせて40メートルというのも見ましたが、広いモンゴル、2メートルなど誤差のうちです。
頭部を拡大してみました。ちなみに、この像はステンレスでできているとのこと。人物が人物だけに腐食させるわけにもいきませんし、銀よりは経済的なはずなので、素材としては適切な選択でしょうね。
駐車場のそばで、鷹狩り用の鷹を腕に乗せるというのがありました。遊牧民族にとっては伝統的な狩猟方法ですが、現在はモンゴル西部に住むカザフ族のイメージが強いです。
周囲にいくつも見える白いものはツーリスト・ゲル。遊牧民の天幕を、旅行者用の宿泊施設に使っています。ツーリスト・ゲルはここに限らず、モンゴルのさまざまな観光地に置かれています。あくまで天幕なので、シャワーやトイレは別棟になりますが、それも含めて、一度泊まってみると面白いと思います。
像の近くまで来ました。護衛の騎兵が両方に立っています。この間を通って台座の内部に入り、さらに上に登って像を間近で見ることができます。
台座の中に入りました。正面にはハーン像が持っているものと同じむちが置かれています。日本的感覚で、こういう風に置かれていると剣だと思ってしまうのですが、むちと言っていたはずです。
その隣にあるのは世界一大きいモンゴルの伝統的なブーツ「ゴタル」*2。聴いたところでは9メートルの高さだとか。
最初に回るのは、地下にある青銅器時代・匈奴帝国博物館と大モンゴル帝国博物館を見ていきます。博物館では、それぞれの時代の遺物や復元品としてさまざまな展示が置かれていますが、撮影禁止なので写真がないのはご容赦を。ただ、一部の展示に対する落書きが放置されていたのは遺憾でした。
展示を見終えてから、エレベーターと階段で上がって外に出てきました。草原なので他に高い建物などなく、周囲は当たり前に一望できます。
ゲートの向こうには、モンゴル帝国時代の貴人女性像が立っています。ひょっとしてチンギス・ハーンの母ホエルンの像でしょうか。そんな像の近くで牛(馬?)が草を食んでいるのも、いかにもモンゴルです。
振り返るとチンギス・ハーン像。今いるのは、ハーンと同じ馬の上です。これ、好きな人にはたまらないシチュエーションでしょうね。
肖像画やモンゴルの紙幣で見るよりも精悍な表情。
その脇にはツーリスト・ゲルが置かれていますが、中には土台だけで肝心のゲルがないところも。予約が入っただけゲルを建てるシステムなのかも知れません。だとしたら効率的ではあります。
草原と言っても草だけが生えているわけではなく、河川や湖沼など水のあるところ、風が強くないところでは木も育ちます。今見ているところでも、山々の間に林になっているところがあるのが分かります。これはウランバートル付近を流れるトール川(トーラ川)のほとりです。
それにしても、こんな巨大な像が建てられるとは、モンゴルも羽振りが良くなったものです。ただ近年は経済成長の勢いも落ちていますし、南隣の中国の経済が減速しているだけに、不安は尽きませんが。
今回のモンゴル訪問、これで無事日程終了……と言いたかったのですが、気候の変化や疲れからか、この後体調を崩してしまうという情けないオチがついてしまいました。ただ1年ぶりに草原に出られたのは良かったです。また機会があれば、今度はウランバートル以外をもう少し回りたいものですが、そのためにも体調管理は気をつけないと(苦)