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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

10月のウランバートル(3)秋のはずのウランバートル

 

 日本では「10月なのに暑い」と言われている時期ですが、ウランバートルは別の意味で秋なのかという感じでした。いや、この時期このぐらいの気候でもおかしくないんですが。

 

 

 10月とは思えない暑さの日本を飛び立ってモンゴル・ウランバートルに来てみれば、翌日から初雪で一気に冷え込みました。ここまでのもようはこちら。

 

www.3710920.com

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 さて、無事大役(?)も果たせたので、残りの日程で資料収集、ウランバートルの中心部を歩き回ります。

 

 

 ホテルから丘を下って行ったところ。私が若い頃は手前左側のレンガ造りの住宅、レンガとガラス張りのチンギス・ハーンホテル以外、今見えている建物は全くなかったんですよね。といっても、この画像からは想像しがたいでしょうが……

 

 

 市内はすっかり雪化粧。この日は陽が出たので昼間はそれなりに暖かかったですが、昨日だったか一昨日だったか、昼間に-5℃というのを見たときはいろいろ通り越して笑いそうになりました。

 いや、そのぐらいなる日があってもおかしくないのですが、なにせこの時期のウランバートルは久々ですからね。

 

 

 ウランバートルの真ん真ん中、スフバータル広場の入口。諸外国で言うところのクリスマスシーズンが既に始まっているようです。

 

 

 こんな感じでリースが飾り付けてあります。

 先程「諸外国で言うところのクリスマスシーズン」という持って回った言い方をしたのは、モンゴルにおいて「クリスマス」という言葉自体がどこまで定着しているのか、何とも言いようがないためです。宗教が制限されていた社会主義時代が終わって30年余り、「クリスマス」という言葉を聞いたことがない人はいくらなんでも少ないでしょうし、年末から年始にかけてのお祝いムード、というのは、このような感じでモンゴルにも入ってきているのですが、この時期に多いパーティーや宴会もクリスマスなんちゃらと呼ばれるのはほぼ聞かず、шинэ жил、新年のお祝いというようですし。

 

 

 スフバータル広場に来ていました。雪や氷は一掃されています。

 

 

 南側の山々は、ほとんどビルに遮られて見えなくなってしまいましたが、それでも顔をのぞかせているところでは、雪を冠しているのが分かります。

 

 

 ここから市内の本屋等を目指して歩き回ります。ただこの時期怖いのが路面凍結。この時期なら晴れてさえいれば、昼間の気温がプラスになって路面の雪や氷も溶けるのですが、そうでないところではガチガチに凍ります。さらに表面もツルツルになって、まず間違いなく滑ります。

 そうなった結果がこちら。こういう透明になったところを見かけたら、必ずよけないといけません。間違ってもその上を歩いてしまったら、かなりの確率で滑ります。こういう氷を砕いて取り除く、雪かきならぬ氷割りの作業もあちこちで行われてはいるのですが、表通り以外はなかなか作業の手が回らないようです。

 

 

 国立百貨店の近く、国立サーカス(って書いていますが、今はどちらも民有です)に向かうプロムナード。こちらも大きな飾り付けで新年のムードです。

 ちなみに、モンゴルにもハロウィンは入ってきているようで、ショッピングセンターの一角でハロウィングッズが売っているのに子どもたちが群がっているのを見かけました。ただ日本ほど広がっているかというと疑問符がつきます。

 

 

 本日の目的地の1つ、国立百貨店。この6階に大きな書店が入っています。くどいようですが国営ではありません。ですが今に至るまで、社会主義時代の名前が使われ続けています。国鉄土佐大正駅みたいなものでしょうか。

 

 

 もうひとつ、私が必ずチェックする書店が、モンゴル国立教育大学(そういやこちらも「高等師範」という社会主義時代からの名前がバス停で残っています)近くのInternom。専門書の幅広さと多さでは随一かも知れません。というか、他の書店は遠いですし、私の専門範囲からしたら国立文書館を探るようなこともまずないです。こういう書店にない資料を探したければ、この近くの古書店や、市内にまだ残る古書の露店販売を探し回ります。

 

 

 一通り必要な資料は得られたので、本日の作業終了。ウランバートルはすっかり夕方になって冷え込みます。ただそうなると、ゲル地区の家々で石炭暖房を使うようになるため、その煤煙で空気が一気に悪くなります。以前にも書きましたが、冬のウランバートルの大気汚染は世界的に見ても高レベルで、もはや宿痾と化しています。

 今はまだ10月で、真冬よりは空気はだいぶマシなはずです。空も煙っていませんし。しかし、昼間と違って空気が焦げ臭くなっていくのが、マスク越しでも感じられました。

 

 

 ウランバートルでの予定はあっという間に終わり、翌早朝、チンギス・ハーン国際空港に戻ってきました。空港自体は朝から賑やかなのですが、出国審査を済ませてしまうと成田便以外の乗客はあまり見当たらず、静かなものです。

 

 

 空港付近の草原。遠くの山や丘が冠雪しています。

 

 

 成田便の機材。いろいろいわくが付いてしまって、日本の航空会社ではまだ見かけないB737MAXですが、もうすっかり慣れた気分です。ほら、よく言いますが航空事故に遭う確率は交通事故のそれより低いですし、昔と比べたら航空事故自体減っていますし。

 

 

 成田便搭乗。順調に飛べば、これから5時間ほどで成田に戻ります。

 

 

 飛行機は難なく飛び立ちました。窓の外には荒涼とした晩秋の平原が広がります。たった数日ですがこの空気感を体験してしまうと、日中はまだ30℃近くなるであろう日本の気候が想像しがたくなるのだから、不思議なものです。

 

 

 通例なら、次にモンゴルを訪れるのは来年の夏です。ただ、もう一度は真冬を経験しておかないといけないとは思っているんですよね。

 ……って書いたら謎の予定が入ったりするかも知れませんが(笑)

 

 ちなみに、前回訪問記同様、次のエントリでこの間食べたもの飲んだものについて書いてみました。

 

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