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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

只見線只見-会津川口間乗車で日本の鉄道営業路線「完乗」(前篇)小出から只見へ

 

 10月1日に全線の運転を再開した只見線に先日乗ってきました。これで代行運転を含む日本の鉄道営業路線暫定完乗の「暫定」が取れ、本格的に完乗できたことになりました。

 

 

 日本の乗り鉄なら一度は志す、日本の鉄道営業路線乗りつぶし。JR・公営・民間すべて含めた鉄道・軌道の営業路線に全て乗る*1という、個人的に壮大な目標です。

 私も2014年暮れに「暫定的」乗りつぶしを達成しました。ここで「暫定的」というのは、当時自然災害で長期間運休の路線があり、それらについては代行・代替運転のバスやBRTを利用していたためです。

 ただ、後に運休区間が復活したり、あるいはBRTに完全転換されて廃線となったりしたことから、今年の時点で残る運休区間只見線会津川口-只見のみになりました。この区間は2011年の台風によって甚大な被害を受け、一時は廃線も取りざたされたものの、地域住民や自治体、JR東日本によって復旧の合意がなされたのです。

 そして2022年10月1日、ついに11年ぶりにこの区間で運転が再開されました。

 

saikai-tadamiline.jp

 

 こうなれば、乗りに行かないわけにはいかず、先日出掛けることにしました。

 

 

 東京に出てから東北本線高崎線上越線の電車に乗って、新潟県南魚沼市小出駅へやって来ました。只見線はここから会津若松まで、時刻表によれば営業キロ135.2kmの路線です。

 

 

 2両編成の会津若松普通列車。混むのは分かっていたので、上越線の電車を降りてから大急ぎで向かったのですが、既に座席は埋まった後。会津若松まで、下手をするとずっと立ち通しになりそうです……

 

 

 会津若松側の車両。東北ではお馴染みの箱型ディーゼルカーです。

 そして列車は定刻に小出を発車。会津若松までは4時間超、各駅停車でゆっくり走っていきます。

 

 

 さて、ここからは沿線の風景をいろいろお楽しみいただきましょう。

 小出からしばらく走った列車が奥只見を分け入っていきます。山の上まで設置された防雪柵が、冬の厳しさを物語っています。

 

 

 破間川から末澤川に沿って、新潟県福島県の県境へと登っていく只見線

 

 

 草木の間から、時折渓流が顔を出します。

 

 

 列車は川を何度も渡っていきます。ただ橋に差し掛かったと気づいてシャッターを押すのでは、こんな感じでタイミングを逃してしまいます……

 

 

 木々の合間から覗く渓流を狙おうとしても、ピントが合わず……

 

 

 ただ、撮ったものは撮ったものなので、ひとまず雰囲気だけでも味わっていただければと。

 そして列車は末澤川に別れを告げ、県境のトンネルに入っていきます。

 

 

 トンネルを越えると、列車は福島県へ。只見線でもとりわけ山深いところまで来ました。

 

 

 現れたのは田子倉湖。田子倉ダムの建設でできた湖です。

 

 

 ダムの向こうに見えるのは国道252号線。只見線とほぼ並走する国道です。只見線はこの辺りをほぼ直線で貫いていますが、国道はダム沿いを蛇行しています。今見えている区間も実は逆行していて、ここから只見線を跨ぐU字カーブを描いて反転、再び線路沿いを走るようになります。

 

 

 ダムを過ぎた只見線が、久々に大き目の集落に差し掛かってきました。

 

 

 SL時代の転車台が残っています。もうすぐ駅に着くようです。

 

 

 遮断機のない第4種踏切、車道から見れば行き止まり。

 そこに、おそらくは列車を見に来た人々が集まっています。

 

 

 そして列車は只見駅に着きました。

 以前訪れた時は、今回とは逆に会津若松から来ました。朝早く発って会津川口で列車を降り、代行のマイクロバスで只見まで来たのでした。

 

 

 「おかえりなさい」と迎える只見駅のボード。歴代のディーゼルカーが集まっています。

 

 

 沿線の絶景を示す写真の数々。紅葉の頃はさぞ美しかろうと思いつつ、落葉で線路が滑って大変だろうという気もします。

 

 

 こちらは只見線の歴史を記した写真。開業が1963年と言いますから、ローカル線の中ではどちらかと言えば最近の路線になります。

 

 

 JRの駅によくある名所案内。なのですが、距離や時間が凄まじい。タクシーで40分走ってから徒歩3時間ってさらっと書いてるのって何なんだと。しかも歩くのも相当な登山道でしょうし。

 

 

 ホームの先には、11年待ち続けた全線運転再開を祝う横断幕が掲げられています。

 ここから会津川口まで、復活なった路線の旅が始まります。が、長くなったのでそちらは続編にて。

*1:乗りつぶしの対象となる鉄軌道路線の範囲は統一的なルールがなく(むしろなくていいと思いますし)、人によって様々です。私の場合、(1)鉄道事業法に基づき、(2)独立した路線として、(3)対象を限定せず一般の乗客向けに営業している、という3条件全てを満たす路線を対象としています。ただし、本文でも触れた通り、災害・工事等で運休になっている場合、バス・タクシー等による代行運転を利用すれば、暫定的に乗車した扱いとします。