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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

2010年夏・東北縦断横断(前)

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 11年前の夏、青春18きっぷの旅で東北を回りました。朝から晩までただ列車に乗る旅、前後篇に分けて振り返ってみます。

 

 

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 当時はまだ現役だった夜行列車で、新潟県は新津駅へ。ここから磐越西線福島県へと渡ります。

 今でこそJR只見線の不通区間以外の旅客鉄道は全て乗りつぶした私ですが、当時は全国各地に未乗路線がありました。とりわけ東北は前年に初めて仙台に行ったぐらいで、ほぼ全てが未踏の地。この段階ではとにかく乗車距離を稼ぐべく、幹線中心に乗っていこうという考えで旅程を組んだのでした。

 

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 まだ夜が明けたばかりの夏の朝。SLばんえつ夢物語号の客車が、まだ眠りについています。

 

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 乗り込んだ列車はあろうことか、全席ロングシート……

 そりゃラッシュは混むのかも知れませんが、夜行列車からの乗り換えには堪えます。とはいえ、他に選択肢はありません。

 

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 列車は新津を発車。次第に夏の日差しが強くなる水田地帯を走り抜けていきます。ただ、阿賀野川沿いを走る頃には、左右の風景は狭まっていきます。

 

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 列車は津川駅に着きました。何やら不思議な駅名標だと思ったら、この辺りは狐の嫁入り伝説で有名なところ。こちらは毎年5月のお祭りの写真だそうです。

 

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 列車は阿賀野川沿いに、さらに山を分け入っていきます。そして気がつけば、福島県に入っていました。

 

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 会津盆地に降りてきた列車の周囲は次第に市街地となり、喜多方駅に到着しました。あちらこちらで描かれているイラストが赤べこで、会津のトレードマークであることを、ここに来て初めて知りました。

 

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 ラーメンと日本酒で有名な蔵の町喜多方。特に日本酒はパックの安酒から高級なものまで揃っています。

 

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 列車は終着の会津若松に着きました。かつての城下町よろしく、低層ながら堂々たる駅舎が建っています。

 

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 白虎隊士の像。個人的には、子どもの頃に見た大晦日の時代劇のイメージが強いです。そういう世代なのです。

 

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 赤べこの像。首が動くようになっているんですね。

 

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 ここからは郡山まで特急……ではなくて、特急電車を利用した快速列車です。塗装も赤べこを彷彿とさせるものなら、表示幕にも赤べこのイラストが入っています。

 

 

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 側面にも赤べこのイラスト。それでなくても普通列車のみのきっぷで特急電車に乗れるのに、これは心が躍ります。

 電車に乗り込むとほどなく発車、郡山まではあっという間で、これで磐越西線には端から端まで乗り通したことになります。

 

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 本来なら東北本線の普通電車に乗るところ、時間が足りません。なので、郡山から福島までは東北新幹線でワープです。

 

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 山形新幹線東北新幹線の併結列車。電車好きとしては、やはり全席二階建ての後者に惹かれてしまいます。東海道新幹線100系以来、本当に久々の二階建て新幹線で、懐かしい目線から初めての風景を、わずかな距離ですが堪能します。

 

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 まだまだ乗っていたかったのですが福島着。ここで新幹線を降りることになります。

 

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 駅で見つけたキャラクター。「ももりん」というのだそうです。桃に加えて、カゴに入っているのが福島の名産なのでしょうが、関西にいると東北地方のことを知る機会がまぁないので、全然知りませんでした。

 

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 というので、「花のまち」というイメージもなかったりします。この花時計もよく見ると、ももりん?

 

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 そんな中ですが、この古関裕而氏に限って言えば、関西人にその名を非常によく知られた存在と言えるでしょう。なんたってあの「阪神タイガースの歌」(いわゆる「六甲おろし」)の作曲者ですからね。福島出身って知らなかっただろとか言わない

 

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 通常ならここから在来線の東北本線に乗るところですが、今回は別ルートとなる第三セクター阿武隈急行線で北上します。東北本線には「カシオペア」や「北斗星」といった寝台特急が走っていますし、どうせならそちらで通ってみたいですからね。

 

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 阿武隈急行は福島から槻木までを、東北本線よりも東側を通って結ぶ鉄道です。ただ全通したのは第三セクターになってから。世が世なら長距離列車が足しげく通った路線かも知れませんが、鉄道貨物の衰退や新幹線の開通、何より国鉄再建の流れによって、今は物静かなローカル線になっています。

 

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 途中で写真を撮っていれば良かったのですが、流石に早朝からの疲れが来ています。気がつけば槻木で、ここからは東北本線の仙台行に乗り換えます。その仙台でも時間の余裕はなく、次の小牛田行電車に乗り込みました。

 

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 電車は小牛田に着きました。仙台の北の結節点で、普通電車は全て乗り換え。西は陸羽東線、東は石巻線にもつながる、在来線の重要なハブです。

 

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 こちらは石巻線方面へのディーゼルカー。これまで1度だけ東北に来た時に乗ったのが、仙石線を経由して、石巻線で女川へ向かう列車でした。

  小牛田からは気仙沼線の列車も出ていて、南三陸から気仙沼方面に出ることもできます。ただ、今は東北の乗りつぶしに集中できる時期ではありません。山陰にも九州にも未踏の地がわんさかあって、あちこち飛び回らないといけないのです。

 なので、三陸方面は余裕が出来たら集中的に乗りに来ることにしましょう。

 

 ―10年前を知らない11年前の夏。そう考えるのが、私にとっては合理的だったのでした。