中四国女子硬式野球連盟「ルビー・リーグ」誕生!今季からリーグ戦もスタートし、開幕シリーズが安芸市営球場(タイガース球場)で行われるので、朝から出かけてきました。第1試合は高知ダービー、高知中央高校対室戸高校の試合です。
徐々に広がりを見せる女子野球。昨夏には高校全国大会の決勝が阪神甲子園球場で、今春には同じく高校の選抜大会決勝が東京ドームで行われるなど、歴史がまさにつくられているところです。
そして今季、中国・四国地方の女子野球リーグ「ルビー・リーグ」が発足。高校・大学・クラブの14団体15チームが3グループに分かれてリーグ戦を行います。
リーグの初試合は4月16日、安芸市営球場(タイガース球場)で開催。この日朝から3試合が組まれています。
夜にファイティングドッグスの試合もあるので、スケジュール的にどうかなと思ったのですが、歴史を見届けるために朝から出かけてきました。
土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線の球場前駅に降り立つと、球場の1塁側は工事中。開催日を間違えたかと思いましたが、少しすると球場から選手の声が聞こえてきました。
そんなわけで、いつも通る1塁側ではなく、外野の裏をぐるっと回って3塁側へ。間違いなく試合があるようです。
レフト側の法面に、こんなレリーフがあるのを見つけました。いつも通らないので、全然認識していなかったのです。
練習が終わったところで、両チームが整列。リーグを支援する広島東洋カープから、両チームに硬式球が贈られるので、その贈呈式だそうです。
硬式球は各チームに10ダース贈られます。流石に重そうですね。
試合前の記念写真。ボールとは別に何か持っている選手たちがいますね。
見るとルビー・リーグのロゴが描かれたプラカードでした。
ええ、カープが支援しているんです。よく分かりますね。
さて試合です。リーグ最初の試合は、安芸での試合だけあって高知ダービー。高知中央高校対室戸高校の対戦です。
高知中央高校は、先にご紹介した甲子園での初の決勝戦出場を成し遂げた全国屈指の強力チーム。対する室戸高校は古豪ながら部員数減少に苦しんでいたものの、新入生の加入で9人が揃い、3年ぶりに単独チームとして復活しました。
ちなみに、9人の野球チームと言われると、どうしても思い出すのが川原泉教授の『甲子園の空に笑え!』
部員9人だけの田舎の野球部が女性監督の下で奇跡の快進撃を展開、というストーリーなのですが、はたして室戸高校も続くことができるのか注目です。
試合がさらに近づいてきました。男子のアマ野球とは異なり、ホームベースの手前には審判団のみ。両チーム選手・スタッフはベンチ前に整列して一礼します。
始球式を務めたのは、広島東洋カープの選手から現在は野球振興課で勤務している桒原樹(くわはら・たつき)さんです。
なお、ここから試合自体のレポートなのですが、公式スコアが見つかってないのと、私自身がスコアを取れないので(そう、私は取れないんです)、内容や記録については私独自の判断に基づく非公式なものである点をお断りします。
あと、特に不安なのが、各シーンと画像が合ってるかどうか。記述と写真で選手が違ってる可能性も無きにしも非ずです。あらかじめ済みません(汗)
高知中央高校の先発は和田。まずは室戸打線を2三振と内野ゴロで抑えます。
対する室戸は神野がエースで4番。その神野を前に、高知中央がいきなりの攻めを見せます。
1階の裏、高知中央は先頭打者の初球と内野安打から犠打で1死2, 3塁の場面を作ると、4番竹村がセンター前にタイムリー。まずは2点を先制します。
死球をはさんで6番中野の放ったフライをレフトが捕りきれず、高知中央が1点を追加します。
高知中央は直後に2アウト目こそとられましたが、8番木口がサード後方に落ちるタイムリーでさらに1点を加えます。
そして9番鴛海が3-0からの投球をきっちりセンター前に運んでもう1点。結局この回、高知中央が打者10人で5点を奪いました。
対する室戸は2回表、2死から6番松浦がレフト前にチーム初のヒットを放ちますが、チャンスを広げることができません。
すると2回裏、高知中央は連続ヒットと四球で1死満塁として、6番中野の当たりはセカンド正面。しかし室戸セカンドが打球の勢いに対応しきれず、ファーストに投げることになってアウトを取れたのは打者走者のみ。この間に3塁走者が生還します。
すると、ここから高知中央の猛攻が始まります。7番板倉み(しかスコアボードに出てないので名前が分からない)がライト前に落ちる打球で、まずは1点をもぎ取ります。
さらに8番木口がヒットでつなぎ、9番鴛海がセンターオーバー、あわやランニングホームランかという3塁打で走者一掃。
打順1番に戻って白坂はサードの横を破る2塁打で2点を追加、2番北條の当たりはショートゴロでしたが、これが相手悪送球を誘ってもう1点。都合7点を2アウトから叩き出しました。
3回表が三者凡退で終わると、室戸は先発神野とセンター柴嵜を入れ替えます。
しかし、高知中央はその柴嵜相手にも攻勢を緩めません。四死球で得たチャンスで6番中野が右中間に2塁打を放ち、この回1点目。
続く7番板倉みはセンターへの犠牲フライを放ってもう1点。
さらに1死満塁の場面で、1番白坂がレフトへの犠牲フライでまた1点。
次の2番北條の打席で二塁走者がスタートすると、北條はレフト前にヒット。走者はゆうゆうと生還し、この試合16点目を手に入れました。
4回表、高知中央は和田に代えて2番手に黄を起用。黄は先頭打者こそ歩かせたものの、直後を6-4-3の併殺と投ゴロで難なく抑えます。
一方、4回裏の攻撃では1死3塁から7番板倉みがセンター前にヒットを放ち、17点目を記録。ただこの回の得点はこれのみでした。
さて、女子野球は一般的に7イニング制で行われます。ただしリーグ細則によれば、5回成立時点で7点以上の点差があればコールド試合になります。室戸にとっては厳しい状況ですが、それでも何とか反撃を見せたいところです。
そんな5回表、室戸は先頭の5番柴嵜がレフトへの浅いフライを打ち上げます。しかしこれが高知中央レフトのグラブに入るか入らないかのところでバウンド、何とか出塁することができました。
そして、6番松浦が左中間を深々と破るタイムリー!一走柴嵜が懸命の走りでホームにたどり着き、室戸が待望の1点を手に入れます。そして松浦も3塁を狙いますが、高知中央の好送球でタッチアウトとなってしまいました。
って良い場面なのに、歴史に残るところなのに、金網(血涙
失礼しました。あらためて攻勢に出たい室戸、しかしこのあと黄が立ち直り、打者2名を打ち取って5回表終了。裏を待たずに5回コールドとなりました。
試合終了。今回も両チームはベンチ前整列です。
その後、室戸の選手がホームベース前にやってきて一礼。
最終スコア。高知中央の強さが如実に表れている一方で、室戸の1得点も光ります。
実際、高知中央はあらためて見て「こりゃ強豪だわ」というチームでした。投打ともパワーを感じましたし、どんどん先を狙う走塁、丁寧な守備、選手層の厚さにそれぞれの声の押しの強さ、あらゆる面で有無を言わさず強いと思わせる陣容です。全国大会準優勝も当然と言えるでしょう。
対する室戸については「急造チームだもんなぁ」の一言です。やっと9人そろって、単独チームとしての活動ができるようになったばかりで、個々のプレーはもちろん、連係や打球処理の判断も、これから身につけていかないといけない段階のようでした。
それだけに、もう少し練習期間があれば取れたであろうフライやゴロ、できたであろうサインプレーも散見されました。ただ、それらこそがこのチームの伸びしろでもある、とは言っておきましょう。
この日は室戸からも応援が来ていました。室戸高校は男子も選抜出場経験がありながら、ここ数年は連合チームでの出場が続いています。それだけに、久々の単独チーム復活は明るい話題で、地元の方からは期待する声もいろいろ聞かれました。
試合終了後、第2試合に向けた準備中、両チームの監督が談笑しています。
選手どうしも、グランド整備の合間に何やら話し合っています。
高知県は昔からの野球県から、女子も含めた野球県に発展できるようです。そのためにも、このダービーでさらに熱戦が繰り広げられて、高知県が高校女子野球を目指す選手の目的地になればと強く期待しています。
そういう「野球留学」なら、文句ないでしょ?
ちなみに、NHKでこの試合のハイライトが報道されていますので、ご参考まで。