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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

「路面電車・路線バス等無料デー」で久しぶりに電車とバスに乗ってみました

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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって激減した公共交通機関の利用者を呼び戻すため、とさでん交通が日曜・祝日に高知市内を運行する電車・バス等の運賃を無料に。私も本当に久しぶりに、電車とバスで出かけてみました。

 

 

 COVID-19による外出自粛、リモートワーク推進等によって、高知県内の公共交通機関も多分に漏れず利用者が激減、運行本数を減らすなどして何とか耐えている状況です。

 かくいう私も、この間に電車に乗ったのも、汽車(JR・第3セクター)に乗ったのもそれぞれ1回だけ。感染拡大防止のために行ったことですが、忸怩たる思いはあります。

 そんな中、高知市補助金による企画として、高知市内に乗り入れる電車・バス路線、市内のデマンドタクシーの運賃を、日曜・祝日に限って無料にする「路面電車・路線バス等無料デー」の実施が決定。期間は11月から2022年1月までです。

 

www.tosaden.co.jp

 

 感染状況が収束し、連続で新規感染者ゼロも続いており、何より2回目接種も無事終えたことで、気分的には公共交通機関を利用しやすくなったところ。鉄ヲタとしてのリハビリもかねて、出かけてみることにしました。

 

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 枡形の電停に行ってみると、早速電車がやって来ました。

 ところが、無料の効果か、車内は遠目から見ても分かるほどの混み具合。用心のために、1本後の電車に乗ることにしました。

 

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 そして来た電車はハートラムII。なんか得した気分です(笑)

 ただ、こちらも車内は立席客が結構いる状況。無料というので乗ってみた人もいるようです。そもそもが利用客を増やすための取り組みなので、賑わって悪いことはないはずなのですが、距離確保の呼びかけがいまだ無くせない状況を考えれば複雑な思いがします。いや、去年よりは絶対マシになってるはずなのですが……

 

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 ともあれ、はりまや橋まで行って電車を降りた後、南に歩いてみることにしました。というのも、運賃無料とは別に、公共交通利用促進キャンペーンでクイズ企画があって、そのひとつがはりまや橋から南、潮江橋についての問題だったからです。

 というわけで、はりまや橋電停から歩いて鏡川に行き、無事クイズの答えが分かりました。もちろんここでネタバレはできないので、鏡川の穏やかな流れをご覧ください(笑)

 

kochi-saposen.net

 

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 潮江橋を渡った先、梅ノ辻の電停まで来ました。

 ちょうどというかなんというか、無料デーの広告を全面塗装した電車が通っていきます。200形211号車、今も冷房なし。

 

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 梅ノ辻から電車に乗ることにしました。

 停留所の北側では、防災電車どうしが行き違っています。最近は企業による一般的な広告以外に、公共広告やキャンペーンの前面ラッピングもよく見るようになりました。

 ただし、それぞれ型式は違っていて、右側が700形703号車、左側が200形の210号車です。

 この210号車、先程の211号車とはひとつ違いの同形式、見た目も同じ感じですよね。ところが、大きな違いがあります。先述の通り、211号車は冷房を搭載しておらず、こちらの210号車は、

 

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 家庭用エアコン搭載です。

 

 この電車は冷房車が登場するよりはるか昔からのベテラン。ただ冷房化しようにも、屋根の強度が足りません。そこで家庭用エアコンを2台搭載、室外機を天井に取り付ける改造を施したというわけです。

 

www.kochike.pref.kochi.lg.jp

 

 もっとも、改造は今のところこの車両止まり。そもそも非冷房車は車齢も高いので、できることなら置き換えたいところかも知れません。

 

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 さて、再び電車に乗り込みました。

 無料デーにはICカード等は使えず(というか使う必要もないんですが)、乗車の際は整理券を受け取ります。

 整理券は降車時に回収するのですが、普段より量が多くなるためか、普通の運賃箱は閉じられていて、代わりに段ボールの箱が回収用に置かれています。

 そもそも無料なのに、わざわざ整理券を発行しなくても、とも思ったのですが、どの辺りから乗車してきたかを把握したいのかも知れません。高知市補助金を受けた企画なので、市内からの利用者の大まかな数は分かっておいた方が良さそうですし。

 

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 今回は桟橋通四丁目まで行って、自由民権記念館を訪れてみました。これまで何度も前を通っていながら、入ったことが無かったのです。

 

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 入ってみると、近代的なミュージアムでありつつも、錦絵風の垂れ幕や、次代を感じさせる階段の欄干(?)。イメージするところの明治の西洋風です。

 

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 「自由ノ棲ム処、是吾ガ郷」という横断幕。高知ではお馴染みの「自由は土佐の山間から」とは異なりますが、こちらは土佐藩出身で自由党副総理から初代衆議院議長を務めた中島信行自由民権運動家として、同志に向けて贈った言葉とのことです。

 

■ 「まちだの教育」2016年9月21号

kotobank.jp

 

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 洋館の正面にありそうな階段。もっとも、左右の凧(?)がとさでんの赤色行先表示板みたいではあります。いの、ごめん、自由、民権。

 

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 館内に設けられた芝居小屋では、15分おきに資料映像を流しています。

 木戸口に構えている女性は、おそらく「民権ばあさん」。自由民権運動と同時期に活躍した婦人参政権の先人、楠瀬喜多でしょう。「ばあさん」と言っても、年齢は私と変わらないか少し若いぐらいなのですが……

 このほか、館内には往時の資料や、移築された植木枝盛の書斎が展示されています。濱口雄幸の企画展では演説の録音が聴けましたが、思っていたほど時代がかっておらず意外でした。あるいは、平易に話すことで一般国民の親近感を得ようとしていたのでしょうか。

 

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 記念館を出ると、先程の211号。前後で塗装が変わっています。

 

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 この区間は電車のみならずバスも多く走っています。先に来た方に乗ろうと思ったところ、バスが到着したので、こちらで街へと戻りました。


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 電車・バス等無料デーは、今後も日曜日と祝日、さらに年末年始に実施。こちらのカレンダーで実施日が示されています。土曜日は対象外なのでご注意ください。

 また、11月3日から12月5日には「電車とバスで土佐さんぽ」も実施。詳しくは下記リンク先をご覧ください。

 

toden.exblog.jp

kochi-saposen.net