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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

大豊町の施餓鬼(瀬掛け)に行ってきました

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 夏から秋に変わっていく大豊町。今年もそんな中、吉野川や上流の穴内川沿いの各地で施餓鬼(瀬掛け)という大きな灯籠流しが行われます。今回は縁あって、船戸・黒石・中屋集落の施餓鬼に参加させていただきました。

 

 

 大豊町の施餓鬼は盂蘭盆会、簡単に言うとお盆の送り火に由来するものとされていて、現在は旧暦の7月16日(一部では新暦8月16日)に行われます。なので9月に行われることはあまりないのですが、地元の方に聞くと今年は5月に閏月(うるうづき)が入ったので、時期が遅れたそうです。

 

■ 施餓鬼(瀬掛け)|大豊町

 

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 この日は朝早くから瀬掛け舟の準備が始まっています。木を渡した上に竹の骨組みを組んだ筏に、これからたくさんの提灯や飾りつけを施していきます。

 

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 舟の飾り付けが始まりました。今回は学生も飾りつけに加わらせていただいています。

 

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 脇で火を焚いていて、立ち上る煙が吉野川の谷あいを覆っていきます。

 

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 百個はゆうにあるのではないかという提灯。これから一つ一つ灯りを灯してから、舟に飾り付けていきます。

 

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 他の飾りつけも次第に整っていきます。

 

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 灯籠流し自体は全国各地に残っているでしょうが、この規模のものとなると、限られるのではないでしょうか。

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 さらに煙が増していきます。私も河原に降りて、手伝うことにしましょう。

 

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 河原まで降りて振り返ると、吉野川に架かる橋の上から何人もの人がこちらを見ています。灯りの少ない夜に瀬掛け舟が浮かぶ情景を写真に収めようと、早くから待機しているのです。

 

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 提灯を飾る合間に、段ボール箱一杯の花火と爆竹に次々と火が付けられていきます。「賑やかな方が良い」という地元の方のお話で、爆竹が勢いよく音を立てていきます。たまに焚火の中に爆竹を放り込むこともあるのですが、そうすると意外と音が鳴らず、ちょっと拍子抜けでした。

 

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 この小さな船は先掛けと言って、瀬掛け舟を送る前に出す舟です。こちらにも提灯を飾っていきます。

 

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 日もすっかり傾き、さきがけの飾り付けが完成しました。あとは瀬掛け舟の帆柱が立てば、準備万端です。

 

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 提灯を飾るために横倒しにしていた帆柱が、飾りつけが終わって舟の中央に立てられます。なかなか豪快な光景です。動画で撮っても良かったかも。

 

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 帆柱が立ちました。これであとは舟を出すのを待つだけです。

 

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 ただ舟を出すのは、上流の大田口・寺内からの瀬掛け舟がこの辺りを通ってから。次第に夜の闇が降りてくる中、反対側から舟が来るのを待ちます。

 

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 大田口からの先掛けがやってきました。こういう写真だとかなりスピードがありそうに見えてしまうのですが、実際はそれほどでもなく、ゆったりとした流れに乗って進んでいます。

 

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 大田口の先掛けが通り過ぎて行きました。そろそろ、こちらも舟を出す頃です。 

 

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 先掛けが河原を離れ、流されていきます。

 

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 難なく流れに乗った先掛け。大田口の瀬掛け舟も、そろそろこちらに来る頃です。

 

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 その前に、吉野川でラフティングを行っている人に乗り込んでもらい、瀬掛け舟でも花火を上げ、爆竹を鳴らします。これも、先祖の霊を賑やかに送るということなのでしょう。

 

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 結わえていた縄が外された瀬掛け舟が、徐々に河原を離れていきます。

 

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 ほどなく、大田口の瀬掛け舟もやってきました。向こうの舟はこちらと高さは同じぐらいですが、竹を二段に組んでいるようです。

 

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 大田口の瀬掛け舟が目の前を通った辺りで、こちらの舟も川の真ん中あたりに進んでいきます。

 

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 数える程の家の灯りしかない闇の中、たくさんの提灯で飾られた2艘の舟が浮かび上がります。

 

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 大田口の瀬掛け舟が橋の下を通りました。帆柱は結構な高さですが、川面から橋までの高さは見た目でも10メートル以上はありそうで、ゆうゆう潜り抜けていきます。

 

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 そして、船戸の瀬掛け舟も集落を離れて去っていきます。

 今年は少し遅めの施餓鬼。先祖の霊を送るとともに、夏も終わりを告げるようです。