駅に戻ると、ほどなく代行バスがやって来ました。浪江から北は1日片道1本だけのバスに乗って、原ノ町に向かいます。
浪江駅にしばしのお別れ。次に来る時には、どうかもっと賑わっていますように。
以前はバリケードで閉ざされていた国道からの道路も、すっかり開放されています。もっとも、浪江から南の状況は変わっていないのでしょうが。
バスは小高駅に着きました。ここで時間調整が入るので、いったん外に出てみます。
以前来た時は黄色いハンカチがはためいていた駅前の空き地で、たくさんの小さな鯉のぼりが泳いでいます。鉄道の再開という特殊な出来事から、毎年の季節の行事へと祝い事が変わったのを見て、少しでもこの街に日常が戻ってきたのだろうか、という淡い期待を感じます。
さらにバスは北へ。沿線は桜が満開です。浜通りに春が戻ってきた、と書けば毎年のことですが、「戻ってきた」という言葉が、不思議に心に響きます。
原ノ町駅に到着しました。先に書いた通り、浪江駅ではきっぷが買えなかったので、ここで仙台空港までのきっぷを購入します。普段の旅はフリーのきっぷを使うので意識しないのですが、こうして見ると結構な値段です。
ホームに出ると、浪江に行くときに乗った電車が戻っていました。次の出番は、仙台からの電車が来た時です。
その仙台発の電車は、朝のダイヤの乱れが残っていて少し遅れましたが、いつぞやとは違い、20分弱の遅れでホームに入ってきます。
(朝のダイヤの乱れ)
(いつぞや)
折り返しの時間もあまりなく、電車は7分遅れで原ノ町を出発しました。
福島のお酒があれば買いたかったのですが、原ノ町のNEWDAYSにも残念ながらありません。なぜか気になったデコポンチューハイを買ってみると、熊本産でした。熊本も震災の被害を受け、ちょうど1年経ったのです。こんどは南阿蘇鉄道に乗りに行かないといけませんね(使命感
あとは広島から連れ立ってきた日本酒と、仙台みそかつのおむすびで昼ご飯。どうせぜいたくをしたところで高級な味が分かるわけでなし、それより味わいたいのは旅の気分、ならばそれっぽいもので十分です。そもそも、ぜいたくできるほどの稼ぎもないわけですが……
前回は夜の旅となってしまい、相馬から浜吉田の車窓はほとんど真っ暗でしかありませんでした。これでようやく外の景色を見ることができたのですが、基本だだっ広く何もない空間が広がるばかりでした。
海までの間、一面の更地が続いていきます。復興計画がどうなっているのか分からないのですが、あるいは今後また来るであろう津波のことを考えれば、このまま捨て置かれる土地も多いのかも知れません。
電車はそんな更地を抜けると浜吉田へ。ここからは取り立ててどういうこともなく、名取ですぐに来た仙台空港行の電車に飛び乗り、さらに牛タンのつまみと酒を買い足してから、仙台を飛び立ったのでした。
仙台からは伊丹で乗り換え。いつもなら普通列車で、それかせいぜいバスで、ひたすら地上を走るのですが、なにせ翌日から授業があるので、そんなわけにはいきません。「大人は時間を金で買う」と言いますが、そういうところは私も大人になったのかも知れません。だいぶ買い叩いてますが。
伊丹からは、もうだいぶ乗りなれたターボプロップ機。1時間もしないうちに広島と仙台・福島を飛び回る1泊2日の旅が終わり、高知に戻りました。
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2017年春・JR復活路線1泊2日の旅(終点)