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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

2017年春・JR復活路線1泊2日の旅(可部線篇その1:古市橋から可部を経てあき亀山へ)

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 高知を朝出たバスは高速道路を4時間近く走って広島に入り、アストラムライン中筋駅前のバスターミナルに着きました。ここからJR可部線の最寄り駅までは歩ける距離。春の風に吹かれながら15分ほど歩き、可部線古市橋駅に着きました。

  

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 駅に着くと5分ちょっとで電車接近のランプが灯りました。広島近郊を走る可部線は、休日の昼間でも1時間3本は電車が走っています。

 

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 そしてやって来た電車は新車のRed Wing号。広島周辺では大都市で活躍した古い車両を改造・補修しながら使い倒す時期が長く、あげく「國鐡廣島」なるネットスラングすら生まれたのですが、最近になってついに新車を導入、増備が続いているようです。

 

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 電車の行先は可部ではなく、延伸なったあき亀山。可部から先の区間を電車が走るのは、この3月に廃線から復活してから初めてのことです。この点については後ほど。

 

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 電車内には広島周辺の鉄道路線図が掲げられています。広島県内はもちろんのこと、岡山・山口両県のかなりの路線が載っています。

 

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 可部からの延伸区間ももちろん掲載されています。もっとも、来年の春にはここから三江線が消えるのですが……

 

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 ともあれ、電車は可部駅に着きました。ここで上りの電車と行き違ってから、復活区間に入ります。

 

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 可部駅から見た復活区間。以前は可部から先に進めるのは右手のホームだけだったのですが、その後手前の線路が敷かれ、ホームも設置されました。

 ここで、今回復活した(厳密には新規開業の扱いなのですが)可部-あき亀山間について、簡単にだけ解説してみようと思います。

 JR西日本可部線は、もとは横川から三段峡までの路線でしたが、実際には途中の可部駅で由来の異なる2つの区間が接続していた路線でした。可部以南(横川方面)は元私鉄で電車が走る区間、可部以北(三段峡方面)は国有化後に非電化路線として建設された区間です。2つの区間を直通運転する列車はほとんどなく、可部駅にある電車用のホームは行き止まりにすらなっていました。

 

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 ちなみに、これは可部-三段峡間廃止直前の可部駅の写真です。奥に電車が停まっているのがお判りでしょうか。

 ところが、可部以北の区間は赤字改善の見込みなしとして、2003年に廃止されます。普通ならここでバス転換→沿線人口減少→バス路線も維持困難にとなりそうなところですが、可部線は少しだけ事情が違いました。かつて可部駅の隣にあった河戸駅付近はもともと広島市近郊のベッドタウンとして開発が進んでおり、電車路線としての復活を望む地元の声が根強かったのです。その声に押される形で広島市JR西日本も腰を上げ、2013年に可部からの廃線跡に電化路線を延伸することが決まりました。その後は新たに踏切が設置されることに難色を示す国の説得といった困難もありましたが、今年3月のダイヤ改正に合わせる形で、ついにJR史上初めてとなる廃線後の事実上の復活区間として、可部からあき亀山間が電化路線として開業したのです。

 

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 電車はいよいよ可部を出発しました。線路は廃線後に残っていたものをいったん撤去してから敷き直したので、新線そのものです。

 ちなみに、電車の窓ガラスのCマークは広島近郊区間のロゴだそうですが、赤色でCってのがどうみても広島です。

 

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 延伸区間は1.6キロだけ。3分ほどで、あき亀山駅が見えてきました。

 

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 電車は新たな終点、あき亀山に到着。真新しいホームに真新しい電車が停車しました。こうなると「復活」というより、「新規開業」というイメージの方がしっくり来ます。

 

(参考資料)

toyokeizai.net

 

www.nikkei.com

  

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