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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

モンゴル訪問の記録より(2)The 11th International Congress of Mongolists(第11回国際モンゴル学者会議)開会

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 いよいよ第11回国際モンゴル学者会議がスタート。1日目は開会式等の公式行事が主です。

 

 

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 会議初日はモンゴルの政府宮殿で開催。モンゴルの立法・行政の中心です。本来はこの前日に参加登録を行うはずでしたが、私のところには登録場所・時間等の情報が一切来ていません。ただ、こういうこともあっておかしくない話ですし、とりあえず会場で知り合いを見つければ何とかなるだろう、ということで、大した準備もせず向かいました。

 果たして着いてみると、参加登録ができていないというのでかなり待たされましたが、他にも登録手続きからあぶれた研究者がいて、そこから情報を得たり手伝っていただいたりして、何とか時間内に会場入りすることができました。「とりあえず知り合いを探す」はモンゴルで何か困ったときの基本です。

 

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 会場に入ると、スポーツのインタビューで使う感じの大きなパネルが置かれていました。これをバックに記念撮影をする人も後から結構出てきました。って、私も撮ってもらいましたが。

 

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 こちらは第1回からの開催記録と、当時の写真の展示です。

 

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 第1回会議での研究報告。左上は開催記念切手のようです。

 

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 第1回会議が行われたのは1959年。以来半世紀にわたって開催されてきた各回の写真がずらりと並んでいます。

 

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 さて、開会式も間近なので、メインホールに入りました。ただ1階席は早々に埋まってしまい、ようやく2階の後ろの方で席を確保しました。

 

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 開会に先立ち、モンゴルの伝統楽器によるオーケストラが演奏を披露します。

 

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 私自身はこのオーケストラがいつ誕生したか等の情報は持ち合わせていないのですが、おそらくはモンゴルの近代化とともに西洋音楽が持ち込まれる中で誕生したものと思います。

 

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 ともあれ、現在ではこの形式はすっかり定着しているようです。

 

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 奏者の配置など、西洋音楽のオーケストラに似た部分はありますが、基本はモンゴルの伝統音楽の楽器、さらにはそれらを改変したものが使われています。

 

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 右側の大きな弦楽器は、そのような改変された「伝統」楽器の1つと言えるでしょう。役割としてはコントラバス、低音弦楽器ですが、あくまでモンゴル伝統の馬頭琴にルーツを持つものです。

 

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 ただ、よくよく見ると通常のオーケストラの楽器も使われています。

 

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 演奏が終わって開会式が始まりました。今回の会議は大統領の支援の下行われるもので、エルベグドルジ大統領が自ら開会演説を行います。

 

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 その中で、第1回会議での研究報告の録音というのも少し公開されました。披露されたのは、20世紀モンゴル学の泰斗にして文学者としても名を馳せたB.リンチェン先生(左右画面)の報告の一部です。

 

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 続いては先月誕生したばかりの新政権を率いるエルデネバト首相の演説。

 

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 この後、国内外の著名なモンゴル学者に対して勲章・称号が授与され、開会式は終了しました。

 

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 会場を出ると、壁にボードが掲げられており、参加者が記念に署名しています。

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 私も署名してみました。現在のモンゴル語は、キリル文字やこの縦書きのモンゴル文字ウイグル文字)で表記されますが、モンゴル国内ではキリル文字を使うのがほとんどで、正直なところこちらの文字はほとんどわかりません(汗)とはいえ、名前を書くぐらいは、何とかなります。

 

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 昼食を終えると、部会ごとの基調報告に移ります。私が参加することになったのは第4部会(国際関係)で、基調報告は3件行われました。

 

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 基調報告後は政府宮殿のチンギス・ハーン像前で全体写真の撮影。「全体」というのは全参加者です。部会ごとではありません。なので500名を超える人々が一度に写真を撮ることになり、まぁ大変でしたが(苦笑)、とりあえず写真は撮れたようです。ようです、というのは、写真を貰ったわけではないので、です。

 

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 写真撮影後はそれぞれバスでレセプション会場に移動。よく見るとパトカーが先導していました。モンゴル政府にとっては、この会議の開催に威信がかかっている面もあるような感じがときどきします。そんな先導一下、車列は市街地から少し離れた会場に到着しました。

 

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こちらが会場。大型のゲルがいくつもならんでいます。普段は観光用ですが、国際会議が開催される時にはこうしてレセプションやウェルカム/フェアウェル・パーティーにも使われるところで、私自身、以前にも招待されたことがあります。

 

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 レセプションに使われる超大型のゲル。天窓から日差しが降ってきます。

 

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 レセプションは特にあいさつや乾杯もなく、着席するとそのうち料理が運ばれてきて、三々五々始まります。卓上にはアルヒ(モンゴルのウォッカ)が置かれていて、あちらこちらで早速飲みだす人が出てきます。

 

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 そのうちに、出し物が始まりました。こちらは馬頭琴フーミー喉歌)。倍音を使って一度に2つの声を出すという、北方遊牧民の伝統芸です。

 

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 こちらはモンゴルのサーカス等でよく見る曲体芸。初めて見る方は驚かれるでしょうが、このぐらいはまだ序の口。さらに片手で身体を支えることすら、できる人にはできるのです。

 

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 こちらは民族舞踊。といっても、現在のように観衆の前で集団で踊る形式ができたのは、おそらくそう昔のことではないはずです(なので「伝統舞踊」と書いていない)。とはいえ、このような大規模なイベント時にはしばしば披露される舞踊ではあります。

 

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 出し物が終わって外に出ると、羊の丸焼きが置かれていました。

 遊牧民にとって家畜は財産であり、屠って食べるのはその財産を消費することです。なので、家畜を丸ごとでもてなすのは、モンゴルでは上級のもてなしになります。

 もっとも、モンゴル料理の基本は茹でる料理で、焼き物はむしろ珍しいので、私としてはそちらの意外感もありました。

 

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 焼いた肉を切り分けていきます。真ん中のボトルはアルヒですが、この状況であけて飲もうという人はいないようです(他にもありますし)。

 

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 で、これがその肉。日本の霜降り肉のような柔らかいものではないのですが、それがえって肉を喰らっているのだという感覚を与えます。マトンというと臭いが気になる方もいらっしゃるかも知れませんが、ここはモンゴル、気にするだけ損というものです。

 

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 思い思いに歓談する参加者の方々。レセプションが終われば、明日からいよいよ各部会のセッションで研究報告が始まります。