先月末から西アフリカ諸国から選抜された野球選手が来日しての「西アフリカベースボールプロジェクト2016」が全国各地で開催中です。選抜チームは高知ファイティングドッグスのラシィナ選手を通じ、西アフリカ野球にも縁のある高知も訪問、昨日ファイティングドッグスとの親善試合を高知球場で行いました。
本日のスタメン。西アフリカ選抜は選手が11名だけということもあり、DHなしの構成です。ラシィナはどちらのチームで出場するのかと思っていたら、西アフリカ選抜の4番セカンドです。
にしても、「西アフ」って……半角カナは使えないんでしょうか。
高知ファイティングドッグス丸山の先発で、試合は始まりました。
その丸山に挑む西アフリカ選抜は、2アウトからアミールが内野安打で出塁、早速高知の野球好きにアピールします。
続くは4番ラシィナ、1塁側スタンドのファイティングドッグスのファンからも応援が飛んできます。チャンスを拡げたい場面でしたが、惜しくも三振で攻撃終了でした。
その裏、西アフリカ選抜の先発ヘンリーがマウンドに上がりました。立ち投げでフォームもぎこちないですが、うまく全身を使えるようになれば、長腕を活かせそうな期待を抱かせます。
一方、ファイティングドッグス打線はそのヘンリーに手加減なく対決します。初回守備の乱れからチャンスを作ると、3番橋本のレフトへの当たりがタイムリーとなり1点先制。
6番宮下もライトにタイムリーを放ち、いきなり4点を奪います。
ここで投手交代、サードのアミールが2番手となります。ヘンリーはセンターに回り、センターのムサがサード。高校野球のようなシート変更ですが、なにせ選手数が限られているのです。
その2番手のアミール。ここは何とか抑え、初回が終了します。
この日は親善試合ながらイベントも開催。2回終了後に行われたのは、高知工科大学の学生主催による、県内産メロンの早食い競争です。こういうイベントの中に西アフリカの選手も加わっているのですが、メロンが確か1個2,500円、現地の物価で換算すると、どのぐらいの価値があることか……
2回こそ無得点だったファイティングドッグスですが、攻撃を緩めたわけではありません。3回は先頭祐人のヒットを皮切りに、宮下が2打席連続のタイムリーで1点追加。
さらに、8番平野の場面でアミールの投球が逸れて、3塁にいた中村がホームイン(記録は暴投と思われます)、この間に三進した祐人も平野の内野ゴロで生還し、2点を追加します。
反撃したい西アフリカ選抜は、4回に先頭のアミールが2打席連続のヒットで出塁しますが、続くラシィナの当たりはセカンド正面、併殺となってチャンスをつかめず、後続も倒れ得点はなりません。
イニング間イベント第2弾。今回はバットを軸に10回回ってからゴールへ走るという、よくあるけど名前が分からないゲームです。優勝したのは高知工科大の学生、自前のイベントながら他の参加者に花を持たせることはありませんでした。
ファイティングドッグスの攻勢は4回も続きます。四球2つを得てチャンスを作り、6番宮下のライトへの3塁打などで3点を追加。
ただし、特筆すべきは4回裏になってはじめて、西アフリカ選抜の投手に四球が出たということです。野球人口が1,000人ほどという西アフリカ、投手の試合経験もおそらく限られることでしょう。となれば、慣れない試合に出れば四球連発で試合にならない、というのは十分あり得る話です。
ただ、ファイティングドッグスはそういう相手の自滅を待つことはないようで、ガンガン打ってきます。それが得点差として表れているのも事実でしょうが、むしろ好球必打を徹底しているのなら、ただ漫然と打席に入らせるより、はるかに意味のあることだと思います。
ともあれ、西アフリカ選抜は何とか失点を止めたいところ。ここでマウンドに上がったのはラシィナでした。
経験では群を抜くはずのラシィナ。しかしファイティングドッグスでの投手経験は当然ながらありません。それでも何とかこの回を終え、5回以降の攻撃に望みをつなぎます。
一方のファイティングドッグスは5回に澁谷が登板。大差のついた試合ですが、本人にとっては練習生からの昇格を目指すアピールの場です。澁谷は粘られる場面もありましたが、この回は三者凡退に抑えます。
その裏、ファイティングドッグは暴投での走者生還もあって3イニング連続で3点を追加、2点タイムリーを放った宮下はは4打席連続の打点です。
この日の試合は20時30分を過ぎて次のイニングに入らない特別ルールでの開催、西アフリカ選抜は試合終了までに何とか点を返したいところです。6回には先頭のS.アミールがライトへのヒットで出塁しますが、期待の3番アミールの放った辺りが投手へのゴロとなり、併殺でチャンスが潰えてしまいます。その裏は1死3塁から河田に犠牲フライが出て、ファイティングドッグスが1点を追加します。
20時をとうに回り、時間切れが迫ってきた7回。西アフリカ選抜は2死まで追い込まれますが、マイケルが死球で出塁して望みをつなぎます。マイケルは盗塁を敢行してチャンスを作りますが、後が続かず、またも得点は成りませんでした。
その裏のファイティングドッグスは2死からT-松本のタイムリーで2得点。そしてこの攻撃間に20時30分が過ぎ、7回裏終了をもって試合も終わりました。
最終スコア。被安打15にエラー3つで16失点という結果は結果です。ただ選抜チームだけあってか、明らかにルールを理解していないプレーというのはほとんど見られませんでした。適切な指導と試合経験を積めば、成長の余地は十二分にあるでしょう。
このうち特に難しいのは後者でしょうが、だからこそ日本からの支援がうまくいけば面白いことになります。今でこそ西アフリカ選抜という形で来日していますが、いずれは各国ごとのチームが組めるレベルになるでしょうし、その過程で野球人口・マーケットの拡大や、支援者としての日本の存在感の拡大は、日本にとって悪い話では決してないですし。
試合終了後、互いに礼を交わす両チームの選手たち。この後は双方一緒に、観客の見送りです。
両チーム主将とラシィナの挨拶。ラシィナはすっかり日本語に慣れたようです。
ところで、西アフリカ選抜は高知のほかにも日本各地で親善試合を行っています。7月には北海道も訪問、日ハムOBチームとの試合もありました。その記念グッズが流れに流れて、高知でも販売されていたので、真っ先に目に飛び込んだクリアファイルを買うことにしました。
こういう形での国際貢献は、ファンとして、ちょっと誇らしかったりします。