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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

【地域実習振り返りレポート】(14)ブルーベリー作りを学ぶ、ブルーベリー作りから学ぶ(大豊町・2016年5月28日)

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 この日の天気は小雨が降ったり止んだり。そんな中、今回の実習では大豊インターから車で5分ほどの「ゆとりすとベリー農園」へ赴き、ブルーベリー栽培の作業に加わるとともに、現地の職員の方と意見交換を行ってきました。

  

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 午前中に行ったのはブルーベリーの挿し木。作業の前に、従業員の方に手順を説明していただきます。

 まずは、ポットに底石を詰めるところから。

 

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 その後は農園で配合した用土を詰めていきます。

 

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 用土を作る機械。ここに素となるものを投入し、水をかけながら回転させて混ぜていきます。ただし、この過程で肥料の発酵が進むので、おのずと臭いも出てきます。そんな話をしていると、現地の方から「もっと凄いのがあるよ」という一言。液肥として薄めて使う肥料だそうです。

 興味を持った学生がどんなものか見せて(嗅がせて?)もらいに行ったところ、お言葉通りさらに強烈な臭いの直撃を受けることとなりました。詳しい表現は控えますが、今の生活では遭遇することなどまずないレベルの臭いです。ただ、おいしくて見た目も良いブルーベリーを作るには相当な苦労がある、というのを体感的に理解する上で、こういう経験は役に立ったことと思います。

 

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 今度は挿し木にするために、今年生えた新芽を切っておきます。

 

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 ただそのままでは長過ぎますし、枝を同じ長さに揃えるなどの作業も必要です。

 

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 さらに葉先も切り落とします。

 

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 そうして整えた枝を、ポットに挿していきます。

 

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 できた挿し木をハウス外に並べていきます。

 

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 午前中の作業でこれだけできました。

 

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 挿し木作業が意外と早く済んだそうなので、午後は枝打ち作業を行いました。屈曲した枝、内向きに伸びた枝、下向きに生えた枝、伸びすぎた枝、ブルーベリーの木以外に鉢から生えてきた枝、目に付いたものはとにかく間引いていきます。

 

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 こういう作業はやり出したらなかなか止まらないのですが、意見交換会の時間も必要なので、頃合いを見計らって作業は終了。切り落とした枝の片付けと掃除を済ませました。

 

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 作業終了後は従業員の方との意見交換会。学生はこの日の作業等を通じて気づいたことや疑問に思ったことをその場でまとめるとともに、企画につながるアイディアを出していきます。現地の方にはそれらに対するご意見に加えて、仕事や地域についての思いを話していただきます。

 アイディアそのものが良いに越したことはありません。ですが、すぐに企画化できるアイディアを思いつくのが簡単なはずはありません。この日も、学生が考えたアイディアを話すと、それが既に提案されていたり、取り組まれて終わったあとだった、ということがままありました。

 ただ、現時点ではそれで良いと私は思っています。むしろ、思い付きがあっさり通ってしまうよりは、先程書いたアイディアを出す難しさを身をもって理解できた方が、かえって収穫になるかも知れません。

 さらに言うなら、アイディアそのものの質を上げるのも大事ですが、もっと考えるべきは、そのアイディアが採用するに値するものであることを証明することです。理論武装やデータ・先行例の収集、あるいはプレゼンテーション・説得能力の向上、やるべきことはいくらでもあります。それらが必要であるという認識も、アイディアの提案が簡単ではない、という事実から学びとれることです。

 

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 そしてもう一つ。これまでの実習を通じて、実習地には実に多様な立場の方々が関わっていることも観察できたと思います。現場で作業に従事する方々(その作業自体もパークや道の駅、農園等で様々です)、管理業務にも携わる方々、本社の方々、地域住民の方々、学生、教員……立場から何から違っていますし、その違いはこれまでの実習を通じて、学生たちも理解できたものと思っています。

 その一方で、新たな視点で事業を改善したいという思い、そのために新たなアイディアを求めているということは、実習地に関わる誰もが持っているというのも、これまでで感じ取ったことです。そして、その新たな視点、アイディアの提供者として、われわれが求められているのも伝わってきます。

 となれば、われわれが掲げる「協働」~自律した人や組織同士が立場や利害を越えて共に考え行動し、単独では解決できない共通の課題を解決し、新しい価値や創造物(成果)を産み出す関係や行動様式(営み)~、この出番です。学生が課題認識を共有する多様な人々を巻き込み、共に考え、行動していくこと。われわれの実習地では、これがどこにも増して必要になるのではないか。学部ウェブサイトにもある「地域協働を組織する力」の必要性をあらためて感じた実習でした。

 

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 まだ青いブルーベリー。われわれもこれから熟していかないといけません。ただ肥料を与えられる植物と違って、われわれは成長の糧を自分で探し出し、取り入れ、その成果を分かち合うことができますし、求められます。さてどこまでできるか、やってみないといけません。

 

 なお当日の模様については、学部ウェブサイトでのレポートもご覧ください。

 

www.kochi-rc.jp