2016年初の野球観戦は、高知市野球場でキャンプを張る韓国プロ野球ハンファ・イーグルス二軍と高知ファイティングドッグスの試合です。実はこれ、この年になって(どの年とは言いませんが)初めてのプロ野球キャンプ見学。それが韓国の球団の、しかも二軍ってのはいかにもマニアックでニッチ志向ですが、そういう点ではまさに私らしい気もしたり。
高知市野球場までの道はハンファ歓迎の幟が並んでいて、球場前の売店もご覧の通り。ハンファは高知で1月半ばから2月初めまで一軍の、その後は3月初頭まで二軍のキャンプが行われます。他球団と比べると、かなりの長丁場です。
13時試合開始の数分前に球場に来たはずだったのですが、着いてみると数分前に試合を始めていた様子で、既に最初の打者がフルカウントになっていました。
で、こちらがスタメン。ハンファの選手は基本ハングルのみの表記がカタカナになっているのを除くと、漢字表記になっています。ハンファがホームチーム扱いですが、この球場でキャンプをしているからでしょうね。
さて、そのハンファ・イーグルスとは、韓国プロ野球(KBO)で今年創立30周年を迎える球団。ただ2000年代後半から極度の低迷にあえぎ、6年間で5回最下位に沈む暗黒時代の真っ只中。この間の順位を並べた58868996は、KBOが生んだパスワードとして、4年連続最下位の後3年連続Bクラスのロッテ・ジャイアンツ(8888577)や、LGツインズの10年連続Bクラス(6668587667)と並び称されています*1。
2015年には名将金星根(キム・ソングン)監督の下でタルコルチ(最下位脱出)には成功しましたが、Aクラス入りは果たせず。そして今年のキャンプでは、一軍がファイティングドッグスとの交流戦で逆転負け(しかも9回に6失点)、さらに横浜・東北楽天というNPB両リーグ最下位チームにも練習試合で負けるなど、早くもパスワード延長の可能性が囁かれる状況です。
(参考)■韓国プロ野球応援サイト ストライク・ゾーン ハンファイーグルス紹介
■ナムウィキ「58868996」の項(韓国語・私はそのままだと読めないので翻訳サービス使用)
一軍がそんな状態ですから、二軍とファイティングドッグスの試合ともなれば、ハンファが勝てば二軍より一軍が弱いとネタにされ、ファイティングドッグスが勝てばそれはそれでツッコまれ、なかなかややこしいことになりそうな感はありますが、それはさておき。
ハンファの先発は金勁兌(キム・ギョンテ)。さっそく味方の守備に足を引っ張られます。
先頭打者大城が右中間に放ったライナー性の辺りをライトがはじき、打球が点々とする間に大城は3塁へ。続く山下のヒットで高知が早速先取点をもらいます。
その後なんとか2死まで漕ぎ着けますが、6番宮下の2塁打で高知が追加点。
続く銀次朗はショートのエラーを誘い、高知が3点目を手に入れます。
高知先発は秋山。高卒ルーキーの水口とバッテリーを組みます。こちらは球数を節約しつつハンファ打線を無難に抑えていきます。
初回のたなぼただけで満足してはいけない高知打線。4回には二死から大城が2塁打で出ると、山下の打席でキャッチャーが投球を取り損ねて見失う間に三塁進塁。ここで山下がきっちりライト前にヒットを放ち、中押し点を奪いました。
秋山は結局無失点投球で、2番手渋谷に交代。こちらもハンファを四者凡退に抑えます。
ハンファの2番手は鄭在源(チョン・ジェウォン)。走者を出し、進めては失点しない、いわゆる劇場系の投球で高知を翻弄します。
一方、高知からは5回に吉澤が登板。見ての通りのサイドスローですが、この種の投手では制球が生命線となるのに、ストライクがとにかく取れません。右打者の外角、同じようなところにボールが外れて四球を出すと、盗塁を決められてピンチを招きます。
1死2塁となってハンファは代打梁相佑(ヤン・ソンウ)を起用すると、ライト前にタイムリーを放ち1点を返します。
この選手、ご覧の通りの体格ですが、水口の肩を見透かしたかのように盗塁を仕掛けると、ドタドタという擬音が見えそうな走りにもかかわらず悠々セーフ。すると今度は三盗まで敢行、水口が送球しますがこれをサードがはじき、結局そのままホームイン。高知はやらずもがなの2点目を与えてしまいました。
その後も吉澤の制球難は収まらず、さらに四球を与えて盗塁を試みられますが、今度ばかりは3度目の正直で阻止成功。とはいえ、バッテリーには課題の残る内容となってしまいました。
吉澤のあとは金城力が登板。こちらは難なく無失点に抑えます。
5回以降は被安打四球暴投を重ねながら、得点だけは許さないハンファ投手陣。3番手のヨ・スンチョルも、先頭打者に2塁打を打たれてからの四者凡退、イニングを跨いではまたも先頭打者2塁打のあとに、きっちりフライアウトを取ります。
すると、イニング中にも関わらず、ここで投手交代。4番手に金☆均(キム・チャンギュン、☆は王へんに祭)が上がると、こちらも挨拶替わりの四球に被安打で1死満塁としたところで、後続を三振と内野フライで無失点。
この劇場が伝染したか、高知の5番手嘉数は先頭こそ三振で取ったものの、その後は四球とヒットで1死1, 3塁。ここで無失点ならば良いものの、続く2番の李東フに外野フライを打たれ、これが犠牲フライとなってしまいま……
せんでした。3塁走者のタッチアップが早かったということで、3塁にボールが送られてアウトとなり得点は認められず。ハンファの監督が確認に出ましたが、判定はそのままでした。
ここで攻守交代になるはずなのですが、なぜかハンファの選手が守備に就かず練習モードとなり、フェアゾーンはもぬけの殻に。別に先程の判定に監督がブチ切れている感じではありませんでしたし、だとすれば試合開始から3時間で終わるつもりだったのか?ただ高知の選手は試合再開を待っている様子で、場内アナウンスもなし。いまいち様子が分かりません。
10分ほども待ったでしょうか。結局よく分からないままハンファの選手がグランドに出て、試合再開。
何事もなかったかのように投球開始。なんか連絡の行き違いがあったのかも知れませんが、説明はありませんでした。ま、こっちとすれば試合を続けてくれればいいのですが。
その後、9回は高知が1安打1四球無得点、ハンファは三者凡退で、そのまま4-2で試合終了。
結局こんなスコアになりました。
高知は勝つには勝ちましたが、肝心なところで点が取れない勝負弱さが露呈。12安打4得点、しかも得点に絡んだヒットは3本だけですからどうにも寂しい。満塁男駒田監督の現役時代を見習ってほしいものです。
そして一方のハンファですが、記録に残る残らないを問わず、基本プレーが……これがKBOでも上位チームなら、もっと悲惨なスコアになっていたかも知れません。
二軍なので若手を我慢して使っているのかも知れませんし、一軍を見ていないので安易には判断できませんが、この日の内容を見る限り、パスワード更新を食い止める新戦力の供給は厳しそうに感じました。