県中西部の主要都市、須崎市。その玄関口となる須崎駅にやってきました。
高知から須崎までの普通列車は比較的(あくまで県内の他の区間と比べてですが)多い方です。当然特急も止まりますし、地域では一番のターミナルとなる駅です。
ただ、その駅舎はご覧のとおり平屋建て。郵便局は併設されていますが売店はなく、決して大きなものではありません。
むしろ、使われなくなった駅の敷地や、駅のすぐそばが工業地帯になっているのを見ると、かつては旅客よりも貨物の存在感が大きな駅だったのではないか、と思えます。高知市内なら路線バスでも出られますし。もっとも、今は貨物は完全になくなってしまったわけですが。
駅前の小さなスペースの中心に、モニュメントが建てられていました。
サービスエリアタウン。「サービスエリア」というと、鉄道よりもどうしても高速道路をイメージしてしまいます。
ただそのイメージは間違っていないようで、須崎市は自然体を高速道路のサービスエリアに見立て、利用してもらおうとする構想を進めているのだそうです。
このキャラクターは、そんな構想が生み出したのでしょう。須崎なだけにニホンカワウソです。ただ、残念ながら名前は分かりません。
現在のJRの路線のうち、高知県内で最初に開通したのは須崎からの路線。
須崎駅にはSLの動輪と、国鉄発祥の地のプレートが保存されています。「国鉄」というからにはかなりの年代物なはずですが、今もプレートは光っています。
たびたび出てきた高知線(土讃線)の歌。出発駅は、初めて路線が開通した、この須崎です。
土讃線の基点を示す案内。
高知市から西に進むルートは、現在の土讃線のように佐川を経由するもの、国道56号線のように、現在の土佐市の中心地である高岡を経由するものとありますが、土讃線が高岡回りで建設される可能性があったのは知りませんでした。
高知県中部の地図を見ていただければ分かりやすいと思いますが、高岡回りの方が距離は短い一方、佐川回りだと、佐川に加えて伊野・日下と市街地を多く通る。一長一短なだけに、当時は相当の駆け引きがあったのが想像されます。
駅前を歩くと、とたんにしんじょう君のポスターに出会います。本場ですから、当然のことではあります。
駅の自動販売機もこの通り。
3連休でも決して人通りが多いとは言えない、静かな街、須崎を全国に知らしめた人気者です。
もう1つ、須崎で忘れてはいけないのが鍋焼きラーメン。地元の人々が大事にしてきた味は、今も7つの定義の下で、濫造から守られています。
上りの列車の時間が近づいたので、ホームに出ます。どことなく南国の雰囲気を漂わせる小庭園の横に、駅の備品が雑作なく置かれています。
ここでも大きく扱われる、しんじょう君と鍋焼きラーメン。
今の須崎を売り込むポスターがある一方で、駅にはかつての名残も残っています。文字が薄れた木の板は、かつて須崎付近の信号が自動化される前、単線での安全を守るために使われた通票が、ここに仮に置かれていたことを示しています。
こちらは窪川方面。駅構内で何本も線路が分かれていますが、中には旅客ホームに面していないものもあります。かつて貨物運搬華やかなりし時代は、何両もの貨物列車がそんな線路を行き来していたのでしょうが、今は折り返しの時間まで間があるディーゼルカーが休む場所になっています。
今は駐車場になっている辺りでは、貨物の受け渡しが行われていたのでしょう。
広い敷地に、細々と長く残されたホームで、今度は鍋焼きラーメンでもしんじょう君でもなくて、ドラゴンカヌーの街をアピールしています。
ドラゴンカヌー大会は、2015年で第17回目の開催になるとのこと。
かつての隆盛の面影を残しながらも、どこか寂しげなこの駅。
そんな中で、須崎の魅力を訴求しようとする人々がいます。
[参考]施策事例6 須崎市まち全域がサービスエリア構想推進事業(総務省・PDF形式)