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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

シリーズ土佐の駅(21)西佐川駅(JR土讃線)

 高知から西へ西へと走る土讃線が、南へとほぼ90度に向きを変えてすぐのところに、西佐川駅が見えてきます。

 

 

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 白塗りに緑のライン、明るい色づかいが印象的です。

 

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 駅前は決して広くありません。家は並ぶものの商店もほとんどありません。

 とはいえ、この駅は隣町の越知町に向かうバスのターミナルになっています。白地に緑のふちをしたバス停が、左手に見えます。

 

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 待合室は他の駅とは違い、ベンチや机が中央になく、スペースが空いています。そしてここも窓口は閉まったままです。

 

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 ただ、駅には線路が何本も走っていて、単なる無人駅にしては規模が大きい感じです。かと言って、土讃線の特急は西佐川には1本も止まりません。行き違い用と言えばそうかも知れませんが、隣の佐川までそう遠くないだけに、どうしても必要だったかと言われると疑問を感じます。

 佐川駅の話が出たので付け加えれば、西佐川駅は確かに佐川駅より西にありますが、路線としては窪川よりも高知寄り。つまり、高知から窪川に向かう場合、西佐川を過ぎると南から東へと進路を変え、佐川に着くことになります。地図を見ていただければわかりますが、佐川駅の前後だけ進む方角が東、正反対なのです。山間部ならまだしも、比較的平らな盆地でわざわざ逆方向に進むこともありません。これまた不思議な話です。

 

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 今時懐かしい、屋根付きの木製の跨線橋。ただ、その下を見ると、線路と線路の間が空いています。もう1本ぐらい線路を敷けそうなぐらいです。ここにも、普通だけが止まる駅には不釣り合いな規模の大きさを感じます。

 実は、西佐川駅は高知から越知町を経て松山に向かう路線の分岐駅になるはずだった、という話があります。この路線ができていれば、当然列車の本数も多くなったでしょうし、あるいは優等列車も止まっていたかもしれません。また土讃線のルートについても、越知・松山方面に分岐しやすいようにしたと考えれば納得は行きます(それだけが理由だったかどうかはさておき)。

 

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 しかし、実際に松山への路線は建設されず、高知と愛媛を結ぶ路線は現在の予土線のみ。優等列車も停まることはなく、西佐川駅はその規模を除き、他のローカル駅と変わらない存在となって、現在に至っています。

 

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 叶わなかった夢の名残を残す駅で、土佐山田行きの普通が出発を待っています。もう少しすれば、特急が少しは速度を落としながらも、この駅を素っ気なく抜けていきます。

 

(参考)非公式JR四国ファンサイト「西佐川駅

Web高知−土佐路ぶらり−「鉄道の駅が土佐市にないのはなぜ?