谷あいを西に走ってきた列車が南へと進路を変え、峠を越えて、ようやく海へと出会えるすぐ手前に、大間駅があります。
須崎の市街地の真ん中、ターミナルのすぐ隣に、細いホーム1本と小さな待合室があるだけの駅がぽつんとあります。
雨上がりとは思えない夏空の下、数人の乗客を降ろしただけで列車は去っていきます。
駅を出てみました。ただ一直線に伸びる、文字通りの棒線駅。
ふと見ると、工場のタンクに須崎のキャラクター、「しんじょう君」が描かれています。もはや全国区となったゆるキャラは、須崎の新たな誇りなのでしょう。
一方では、昔ながらの遍路道の案内板が掲げられています。
お接待とまではいわずとも、お遍路に出る人々の役に立ちたいという思いが、小さな案内板に込められています。
振り返って海岸の方を見ると、南海トラフ地震の津波を堰き止めんという水門がありました。しかし予想される津波の高さは5メートルから10メートル、この水門を乗り越えかねない高さです。
すぐ傍にあった避難所と避難経路。たどり着ければ津波に襲われるとは思えませんが、足の自由が利かない人にとっては、この距離と高低差はどんなものでしょうか。
高知方面。「その日」、この風景はどうなるのか。
不安と恐れはあっても、日常は巡り、列車は駅へと入っていきます。
(参考資料)