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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

第29回全米サービス・ラーニング年次大会参加記(6)大会第2日

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 全米サービス・ラーニング年次大会は2日目に入りました。この日も午前午後の各セッションと昼食会に参加します。

 

 

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 朝食はさらにボリュームアップ。チーズとハムのホットサンドが登場しました。なお野菜は

 

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 いきおい、こんな感じの選択になります。なお野菜は

 

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 この日は午前中にセッションが3つ行われます。今回は、まずハイスクールのグラデュエーション・プロジェクト(複数年かけて行うサービス・ラーニングのプログラムらしい)に関する報告に出席し、平和構築ラウンドテーブルと高等教育ラウンドテーブルに続けて参加しました。*1ってか十分理解できてない気もしますが、サービス・ラーニングを通じて取り組む課題が中途退学だったり、平和構築といった世界規模のものだったり、地域課題であれば格差や不平等というのがキー・ワードとして出てきます。翻って、われわれが取り組んでいるのは人口減少、高齢化が進む農山漁村の地域課題で、プロジェクトとしても産業や賑わいの創出、コミュニティ・サービスの向上を目的としたものが主なわけで、だいぶ違いがあるな、というのがこの時点での感想でした。

 

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 前日同様、お昼は全体でのランチセッションです。司会は学部生2人。はたして日本で同じようなことができるかという疑問は湧いてきます。ちなみに、来月本学でサービス・ラーニングに関する全国集会があるのですが、学部生が登壇するという話は聞いていません。ま、登壇してもらわなきゃならんとも思わんわけですが。

 

 

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 本日初めての野菜です。その昔ポテトサラダが食べられなかったのが、モンゴル留学中に野菜への渇望が芽生え、平気で食べられるようになったのを思い出しました。

 

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 魚です。どういう魚かは聞いてません。「謎の魚」という言葉が頭をよぎりましたが、途端に食べる気を無くしそうなので振り払いました。念のため書いておくと美味しかったです。

 

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 今回もスピーカーが次々登場します。こちらは俳優・活動家のDevin T. Robinson X氏。スピーチのタイトルは"Road Kill"。何かと思って調べたら「路上で車にはねられて死んだ動物」((c)英辞郎)。エグいタイトルですが、彼は子ども時代に孤児となった経験があり、そのことを表しているのでしょう。スピーチはそんな苛酷な状況から大学へ進学し、俳優、またHIVの啓発を主とした活動家となり、家庭を築くに至った半生を振り返る内容のスピーチです。情熱的な話し方も相まって、会場の感動を呼び起こしていましたが、なるほど、こういう話(ただし白人を除く)が気に入らない人々がドナルド・トランプを大統領に押し上げたのだな、というのも強く感じました。

 

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 スピーチの次は表彰式です。前日に見たボードに受賞者・団体が書かれていましたが、どうもそれ以外の賞もあるようです。ちなみにそのボードについてはこちら:

 

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 受賞者がそれぞれ登壇、相次いで賞を受け取ります。こちらはステラ・サービス・ラーニング賞という賞を受賞したNan Peterson氏。ただ、正直なところどういう賞なのかは分かりません。ウェブ上にも公式な情報はあるようですが(こちら)、これだけでは何とも。

 

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 ともあれ、プレゼンターから賞が授与されます。おめでとうございます。

 

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 続いてはユース・リーダーシップ賞を受賞した「とてつもない機械」という団体が登壇、賞を受けるとともに記念撮影に臨みます。

 エキシビジョンのコーナーに出展していたのですが、見に行った時に担当者が席を外していたこともあり、詳細までは聞いていません。ただ、モーターやエンジン等の外部動力で動く機械を作っているのではないようで、展示されていたのは木工品でした。

 

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 続いては、サービス・ラーニング実践者リーダーシップ賞、となるのでしょうか、とにかくそういう賞の受賞者が登壇します。この辺、アメリカのサービス・ラーニングに疎い私にはピンとこない話が多く、とりあえず授賞式の雰囲気が今までテレビで見てきたアメリカでの授賞式と基本一緒なんだなぁという、実に気の抜けた感想しか湧いてこないのでした。

 ただ、それでも気になったことはあります。というのが、スピーチで異口同音に出てきた"injustice"(不正義)、"inequality"(不平等)、"change"(変化)、"make a difference"(違いを生み出す)という言葉です。どうやら、サービス・ラーニングを行う中で、問題とすべき状況であったり、その状況に対して実現すべきものが、これらだというようです。

 こういう話を聞いていて、なるほどそうなのか、と思う一方、日本のサービス・ラーニングを考えた時に、こういう考え方を適用するのは難しいかも知れないなとも思いました。というのも、少なくともわれわれがサービス・ラーニングを行うフィールドは、高齢化、少子化、人口減という「正義かどうか」という判断とは無関係の変動に直面していて、それらの中で生じる課題の解決が求められているわけです。そうなると、何がしかの問題を「不正義」と断じるのはむしろ教条的であって、現実の課題解決とはつながらない―この時点では、私はそう考えていました。

 

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 午後からのセッションは2つ。若者の政治参加を促す取り組みと、外国(特に途上国)でのサービス・ラーニングをいかに倫理的に行うか、というトピックの報告です。倫理的というと漠然とした印象があるかと思いますが、ことこの報告に関しては「互恵的」という面が強いようです。

 特に外国でのサービス・ラーニングは高知大学地域協働学部でもプログラムがあります。とりわけフィールドに対して収奪的になったり、価値観の押し付けになったりしないようには注意しないといけません。もっとも、この辺の注意点は国内外関係ないのですが。

 

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 というわけで2日目も無事終了。今日こそは真っ当な夕食を調達しようと、街を歩き回ることにします。今日も今日とて仕事があるので、呑みに出るわけにはいきません。

 外に出ると、街灯にホッケーの試合の案内が掲げられているのを見つけました。NHLかと一瞬思ったのですが、団体名が違いますし、「フローズン・フェイスオフ」というのも初耳です。調べてみると、大学ホッケーのプレーオフ準決勝と決勝戦で、セントポールで2日間の開催、地元からはミネソタ大学ドゥルース校が出場するそうです。日程が合えば観てみたいのですが、そもそもチケットが手に入るかどうかが分かりませんね。

 

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 さらに歩くと、教会のような建物が現れました。ただ教会ではないようで、ランドマーク・センターという文化施設です。建物を見ていると、手前にある像が目に留まりました。

 

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 近づいて見るとびっくり。ご存知「ピーナッツ」チャーリー・ブラウンが、スヌーピーを膝に抱いています。何か謂れがあるのかと思ったら、作者チャールズ・シュルツがツイン・シティーズの出身だったそうです。

 

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 サリーとライナスの像もありました。この日は見つけられませんでしたが、近くでシュローダーがピアノを弾いているかも知れません。

 

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 ライナスは案の定毛布を持っています。こういうところにこだわってくれるのは良いですね。

 

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 というので和みましたが、それより何より食料調達が課題です。こんな感じでレストランやバーはあるのですが、食料を買って帰れるところがなかなかありません。ここはスポーツバーなのか何なのか、ツイン・シティーズに本拠地を置くチームのロゴが描かれています。ミネソタ・ツインズ、うっ、頭が……

 

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 歩き回った甲斐あって、スーパーマーケットを発見。入ってみると酒類は売っていないのですが、サラダバーがありました。野菜からチーズからいろいろありますし、大会での食事が食事なので、とにかく野菜優先で買い入れます。

 

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 というわけで、本日の夕食。前日よりは色が豊かになった気がします。ただ旅先で2日連続の休肝日は予想外。ポートランドでは酒の調達に苦労はなかったのですが……Good grief.(タメイキ)

 

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*1:当初のセッション時間割から変更があったっぽいです。詳しい内容については、書くだけの時間的余裕がないので省略しますが