とさでん交通としては初めての新車となる3000形、愛称「ハートラムII」が本日営業運転開始。朝倉(高知大学前)にも乗り入れると言いますから、見に行かないわけにはいきません。というわけで、デビュー初日の車両を見物に行ってきました。
ハートラムIIはとさでん交通が発足してからは初めて、土佐電鉄時代からでも16年ぶりとなる新車です。2002年に導入された100形超低床電車の愛称「ハートラム」を受け、「ハートラムII」の愛称がつきました。
近年のダイヤではハートラムは鏡川橋止まりで、伊野や朝倉(高知大学前)への運用が無くなっていたのですが、本日のダイヤ改正で、午前中に1往復のみハートラムIIが伊野まで乗り入れることになったのです。
朝倉(高知大学前)電停の時刻表。ダイヤ改正に合わせて一新されました。
平日上り(文殊通行)のみ11時台、あとは10時台、下線のついた数字があるのが見つかるでしょうか。これが超低床車両の運用を示しています。で、朝倉(高知大学前)を通る便はハートラムIIが使われることになっています(ただし、定期検査等で代車になることもあります)。
朝倉(高知大学前)から延びる道路上に、いよいよハートラムIIが姿を現しました。東に向かうトラックの流れに、真正面から向かっていきます。
ハートラムIIが曙町の電停に差しかかりました。次が朝倉(高知大学前)です。
さらに近づいてきたハートラムII。初代と比べるとだいぶ角張っていて、前面の傾きもだいぶ抑え目です。
いよいよ朝倉(高知大学前)に差しかかってきました。側面を見ると、以前どこかで見たような気がしてきました。何だろうと思っていたら、大阪に住んでいた時によく見かけた車両「堺トラム」と似ているのでした。
それぞれのアカウントをご覧いただいて、何となく似ていると感じたのをご理解いただければと思います。ちなみに、堺トラムは初代ハートラムと製造会社が同じです。おそらく、この会社がハートラムIIも製造したのでしょう。
ハートラムIIが朝倉(高知大学前)に停車。ここで上りの電車と行き違います。
行先表示器。とさでん交通の電車では特に大きいもので、初めてローマ字表示も付きました。
ほどなく伊野からの電車がやって来ました。こちらは2000形、初代ハートラムと前後して登場した電車です。ただ車体こそ新しいものの、台車やモーターは戦後すぐの電車のものを流用した車体更新車。しかもハートラムと違って段差があるので、高齢化著しい高知では超低床車両の増備が求められてきたのです。
とはいえ、見た目で言えば新車と比較的新車の行き違いなわけで、初日から興味深い光景です。
文殊通行2000形が発車するのとほぼ同時に、ハートラムIIも伊野に向けて発車しました。
高知大学前の交差点を過ぎ、カーブに差しかかるハートラムII。普通の道路なら東行の自動車が走る辺りを西に向かって進んでいきます。対向車の方が左右に除ける中、ゆうゆうと伊野方面に走り去っていきました。
これでひとまずハートラムIIとの初対面は果たしたわけですが、いずれ伊野から折り返してきます。いったん職場に戻った後、その時間を見繕って、再び電停前に足を運んでみました。
下り方面への乗り場では、伊野行が待機中。こちらは800形803号車、もう還暦間近にもなる車両ですが、このぐらいの車齢、とさでん交通では珍しくもありません。
むしろ、とさでんには今も冷房の無い車両があるので、冷房取り付け改造を受けたこの形式の車両は、今年もこれから重宝しそうです。*1
従来型車両に取り付けられた行先表示板。「ごめん」は再三当ブログでもネタにしてきました。ただ残念ながら、ハートラムIIには取り付けられそうにありません。
伊野で折り返したハートラムIIが戻って来ました。後ろに乗用車を従えて、高知大学前の交差点を横切ろうとしています。
再び朝倉(高知大学前)の電停に入ったハートラムII。昭和後期を彷彿とさせる街並みと対向の電車にあって、異彩を放っています。
伊野方面への電車にタブレットを渡します。朝倉(高知大学前)から伊野までは自動の信号が無いので、正面衝突を避けるため、原則として乗務員がタブレットと呼ばれる金属製の円盤(インターネット接続も文書管理もできません。念のため)を持っている場合のみ、車両を乗り入れることができるシステムになっています。
21世紀に入って20年近く経った時代の最新車両ですが、日本では残り少なくなった昔ながらの手法で、ここまで走って来たのです。
こんどのハートラムIIは文殊通行。伊野発の電車で最も多い行先です。都合が合えば、このまま乗ってしまいたいのですが、仕事がある以上そうもいきません。
伊野行との行き違いを済ませたハートラムII。ここからはタブレットではなく信号で電車の出入りを監視していて、黄色の矢印を確認してから電停を発車していきます。
発車してすぐに自動車に囲まれます。両側の道路はそれぞれギリギリで1車線あるぐらい、さらに交差する道はもっと狭く、自動車は僅かな時間ですぐに溜まります。そんな中をハートラムIIは抜け出して、東進していきます。
曙町を過ぎ、さらに狭まる道路上を進むハートラムII。この区間では1日1本だけのデビュー運転、これにて終了です。本当なら乗車レポートまでできると良いのですが、それはまた機会があればということで。
*1:冷房化が進んでいないのは、車両によって大がかりな屋根の補強が必要になるためだそうです。ただ、今年になって究極の手段に打って出た車両が表れました。