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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

三江線最後の旅(6)陰陽連絡線から本四連絡線へ

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 日が変わり、まだ夜が明けきらぬ三次駅に戻ってきました。ここからは高知まで、一部「ワープ」区間はありますが、それを除けば普通列車の旅です。

  

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 三次駅に並ぶ列車案内。朝6時になろうかというのに、三江線の次の次の列車は14時台。江津までの直通列車は5時半過ぎに駅を出てしまい、本日は終了。後は次の石見川本行か、夕方の浜原行の終点で乗り換えるしかありません。

 ただそれはそれとして、こちらはここから高知に帰らないといけません。備後落合行に乗って中国山地を貫いて走るルートにも心惹かれるのですが、備後落合に8時台について、次の新見行に乗れるのが14時台!早々に諦めて、瀬戸内への短絡ルートとなる福塩線の府中行に乗ることにします。

 

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 駅員のいない改札を越えて、ホームに入ります。

 停車中のディーゼルカーは、まだ灯りが灯っていません。こちらはおそらく備後落合行、まだ発車まで時間がありますし、こんな時から乗り込もうという乗客もいないのでしょう。

 

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 反対側のホームに、府中行が停まっていました。乗り込んですぐに列車は出発。乗り合わせたのは私と老男性の2人のみです。その後も駅に着くたびドアが開きますが、しばらくは乗客が1人乗るか乗らないかが続きます。車内は静まり返り、車窓は相変わらず暗い、スマートフォンの電波にも不安を感じる中で、見るものがあるとすれば車内の中吊り広告ぐらいですが、はたして目を向けてみると思いがけないものが。

 

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 北九州のテーマパーク、スペースワールドのフリーパスが発売中という広告、なのですが、スペースワールド閉園してしまったんですが……(涙)

 旅に出たのが年明けのことで、今更フリーパスと言われてもどうしようもありません。代わりになる広告がないのか、何かの記念なのか。時の流れに悲哀を覚えることばかりが続きます。これから先、老いていくにつれて、その悲哀は増すことはあっても、減ることは最早無いのでしょう。

 

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 それでも朝はやって来ます。霧に包まれた中国地方の山の中、気温はおそらく氷点下。しかし日が昇るにつれて、霧は次第に晴れてきて、里山の風景が姿を現します。それがさらに郊外の住宅街に変わっていく中で、列車は府中に着きました。

 

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 列車は終点の府中駅に着きました。東京じゃないですよ(お約束)

 JR西日本府中駅福塩線の途中駅なのですが、ここから福山までが電化されているので、運転系統はここで分断されています。駅名板の立つ手前のホームに、頭端式(行き止まり型)のホームがあり、かつてはこちらが電車用の折り返しホームだったようですが、今は使われなくなっています。

 

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 府中折り返しの電車がやって来ました。JRの小型ディーゼルカーから、国鉄時代からの3両編成の電車に乗り換えです。かつては広島近郊区間が旧国鉄型車両の牙城で、その補修状態も含めて「國鐵廣島」などと揶揄する向きもあったのですが、近年になって新型車両が一気に導入されていて、この間置き換えがまるでない無い岡山近郊・広島県東部の電車が目立ってしまいます。しかも塗装は俗に「末期色」(まっきいろ)と呼ばれる黄色一色。塗装費用削減が目的という噂も流れていて、なおのことトホホ感が漂います。

 で、國鐵廣島があるからには、こちらもあるんだろうなあと思ったら、案の定ありました↓

 

dic.nicovideo.jp

 

 というわけで折り返しの電車に乗って福山へ。ただ久々に車掌さんが乗務していたので、ちょっとグレードは高いです(?)

 電車が福山に到着すると、乗り換え時間は2分程。流石に写真を撮る時間もなく、相生行に乗り込みます。電車はモーター音を響かせながら山陽本線を快調に飛ばし、岡山駅に難なく到着。ここで四国に渡る電車に乗り換えるべく、降りた電車は、

 

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 やっぱり末期色でした。

 そして、向いのホームの電車も、その向こうの電車も、末期色。

 

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 特に手前の電車、色が色なので一見すると分かりにくいと思いますが、30年前位に京阪神に住んでいた方なら、「昔の新快速」と言えばピンとくるかと思います。かつてクリーム地に茶色の帯を纏って、姫路から京都・琵琶湖沿岸へと走っていた電車が、今では末期色の普通列車。やはり時の流れは残酷です。

 

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 そんな世知辛い光景が続いたところ、今度は最近の観光列車を見つけました。岡山から宇野に向かう"La Malle de Bois"号です。私が訪れた時が、宇野に向けて発車する少し前でした。

 

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 おフランス語メインの横断幕が、ローカル列車が発着するホームに架かっています。なんて読むかは、えーと……

 

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 観光列車の導入に合わせて、船のデッキを模した設備がホームにできました。自転車の持ち込みも可能だそうです。

 

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 ホームには鐘までできました。JR西日本岡山支社の力の入れようが伝わってきます。

 

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 もっとも、観光列車と言われても、私には撮影以外関係ない話。こちらはマリンライナーのお古ではなく、現役の列車で四国に帰らないといけません。グリーン車と指定席の車両を撮影した後、自由席車両に乗り込みました。