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2016モンゴル国会総選挙一口メモ(2)モンゴルの選挙制度と2016年モンゴル国会総選挙

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 今月29日に迫った2016モンゴル国会総選挙の一口メモ、今回はその選挙の制度についてです。

 

 

1. モンゴルの総選挙は4年に1度行われます

 現在のモンゴルの国会「国家大会議」。初めての総選挙は1992年に行われました。以来、憲法の定めにより、4年に1回必ず行われています。時期は微妙に異なりますが、6月中に行われるのが通例です(アジア動向データベース調べ。2000年のみ7月初頭に実施)。そして冒頭にも書きましたが、2016年の総選挙は6月29日に実施されます。

 

2. 国会解散は今まで一度もありません

 日本の衆議院は任期満了までに解散して総選挙を実施するのが一般的ですが、モンゴルでは逆に国家大会議が解散した例が今まで一度もありません。

 理由としては、「不可能ではないが現実的に難しい」となるでしょうか。モンゴル国憲法では、「モンゴル国家大会議が全権を執行できない旨を全議員の3分の2以上が認めた場合、また同じ理由により大統領と国家大会議議長が協議の上提起した場合」(第22条第2項)「憲法に他の定めがない限り、モンゴル国首相の任命の提案を国家大会議に上程して45日以内に採決することができない場合」(第22条第3項)、国会が解散すると定められています。日本のように首相の専権事項ではなく、さまざまな主体が関わってくるのです。

 モンゴルでは日本よりもデモが頻発する印象がありますし、その中で国会解散を求めるスローガンはたびたび目にしますが、実際に解散することは今後もあまりありそうには思えません。

 

3. 選挙制度は単純小選挙区制に戻っちゃいました

 ヘンな書き方になりましたが、実際「戻っちゃった(てへぺろです、これ。

 モンゴルの国会総選挙は2004年まで単純小選挙区制でした。全国を76の選挙区に分け、各選挙区で1人だけ議員を選出する方法で、全76議席を決めていたのです。これが2008年には中選挙区制、2012年には中選挙区比例代表の並立制になり、今年の選挙も2012年の要領で行われるかと思われました。

 ところが、選挙も2ヶ月近く前に迫った4月22日、憲法裁判所が比例代表制憲法違反とする判決を下しました。憲法が立候補者個人を選ぶ権利を保障しているという理由です。この判決を受け入れた国会は、審議の末5月12日に選挙制度を完全小選挙区制に戻す案を可決しました。時期もあろうに選挙1か月半前になって、ようやく制度が確定するという事態になったわけです。もっとも、憲法裁判所での裁判前のものとなる選挙制度の当初案が決まったのも今年に入ってからで、決定が早いとは言い難いところです。

 加えて、今回の制度ではモンゴルの総人口のほぼ半数を占める首都ウランバートル議席数が全体の4割に足らず、1票の格差の問題が懸念されるほか、比例代表制がなくなったことで、モンゴル国外にいる有権者が投票できなくなってしまったという問題もあります。もちろん、死票の問題など、単純小選挙区制につきものの短所も容易に指摘できます。

 ともあれ、モンゴルの総選挙については一昨日の日経でも記事になっていて、そこでは「民主党と人民党の事実上の一騎打ち」と報じられています(日経記事)。そうなった背景には、上のような事情があるのです。

 では、その民主党と人民党とは、簡単に言ってどういう政党なのか?その他に候補者を擁立した政党・同盟にはどういうのがあるのか?ってか、今さくっと「同盟」って書いてたけど、それなに?というのは、次回以降で。

 

 

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 ちなみに、第1回もよろしければ。

 

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