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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

【地域実習振り返りレポート(8-1)】東豊永地区街歩き(大豊町・2015年12月26日)

 2015年最後の地域実習は快晴の下で行われました。普段は学部ウェブサイトのアップロードを待ってレポートを作成していますが、それだと年末年始を挟むのでどうしてもタイムラグが出てしまうのと、今回の実習はある意味2部構成なので、ひとまず前半の街歩きの模様を簡単にレポートします。

 

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 この日まず行ったのは、大豊町東豊永地区の中心街、落合地区市街地の街歩き。ここは旧東豊永村の中心地でもあり、超高齢化に続いて人口減少が進む中、それでも4百数十名の地区住民の生活維持を担っています。

 こちらがその落合の市街地。南小川という川の左岸にあり、この一本道の左右に家や商店等が並んでいます。

 ちなみにこの道、国道です。こんな細い道が!と思われるかも知れませんが、地図にも載ってる国道です。現在バイパス建設が進んでいますが、少なくともその完成までは国道です。

 

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 住民の憩いの場。喫茶店でも食堂でも、気軽に立ち寄っておしゃべりのできる場所は、それ自体が地域の結節点として必要なのです。

 

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 集落に1件残る旅館。宿泊施設があると人を呼びやすくなるので助かります。集落でイベントがあって、それこそお酒が出て身動きが取れなくなっても(飲酒運転禁止!)その晩を過ごせるのはありがたいことです。ただ、後で聞いた話では経営者さんがすっかりお年を召されていて、今後宿がもつかどうかは予断を許さないということです。

 

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 JA(農協)の支所。かつては購買機能もあったそうですが、現在は金融サービスしか行っていないそうです。農業資材を域内で揃えるには、購買の復活が望まれるのですが……

 

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 冒頭の画像で紹介した国道439号線から西に折れた道。右手奥には診療所がありますが、医師は常駐しておらず、近くの大田口集落から週3回来ています。左手には西村ストアとガソリンスタンド。その先は以前は橋が架かっていたという話ですが、現在は国道のバイパス建設に伴って撤去されています。

 中山間地域では軽トラックに加えて農業機械や草刈機など、機器類を使うのにとにかくガソリンが必要です。それだけにガソリンスタンドはそんな地域にとってライフラインの1つと言えます。ですが、近年ではその維持が困難になってきており、廃業するところも相次いでいます。農業、農村を守る上で、ガソリンスタンドの機能をどう維持するのかは、重要な問題なのです。

 

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 古い建物の残る集落でひときわ目立つのが、東豊永生涯学習センターの新しい建物。といっても、いつ完成したのかは知らないのですが。ともあれ、地域での寄合で使用されていて、今回も午後はここでワークショップを行う予定です。

 

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 一方、歴史を感じる建物がこちら。看板も味があります。電話番号に(有線)とついているのが興味深い。こういう建物の由来はとても気になりますね。

 

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 写真がイマイチで済みません……

 で、こちらは美容室。集落には美容室と理容室が1軒ずつあります。電燈に書かれた自体がレトロ感を醸し出しています。

 

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 集落の東端近くにある神社。今見てきた通り商店の多い集落なためか、恵比寿神社があります。その他の神社も、コンパクトにまとまっています。

 

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 集落を東に抜けると、南小川を渡る吊り橋が架かっています。車の通れない簡素な橋ですが、対岸に住宅もあり、あるとないとでは大違いです。

 

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 橋はシースルー構造。高所恐怖症の方は見ない方が良いかも知れない画像です←先に言え

 

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 南小川は洪水対策で両岸が固められています。コンクリートの護岸には賛否両論あるとは思いますが、昨年夏に県内各地で大雨や洪水の被害が続出しただけに、安易にケチをつけられないのも正直なところです。

 ただ確実に言えるのは、人工的な姿の河川でも、水は本当にきれいです。写真でお伝えできないのがもどかしいのですが(来れば分かるんです!)、青く透き通った水が滔々と流れているのです。

 

 見る人が見れば、何の変哲もない中山間地の市街地。ですが、地域の人々にとっては暮らしを守る場なのです。しかしながら、先にも述べた超高齢化と人口減少から、その機能は危機下にあります。

 そのような中で、はたして集落中心街の機能をどう維持し、どう継承していくか? 午後はそんな話をする会ですが、こちらについては下のリンク先の後篇をお読みください。

 

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