まだ暗いうちに高知からの一番列車に乗り、朝日が昇る海岸からいくつものトンネルをくぐり、四万十町最初の影野駅にたどり着きました。
朝の冷え込みが残る駅。来し方を振り返ると、もやですっかり隠れています。
上下線に面した1本の細いホーム。ベンチは吹き曝しですが、凝った形の屋根がかぶせてあります。
下り線は行き違いの特急を待つ窪川行。上り線を隔てて、工事用の新しい車両が留置されています。
その奥には、年月を経たであろう別の工事用車両。今も使われているのでしょうか。
木造の、しかしペンキの色も新しい駅舎。決して新しくはないはずですが、地域の人々が丁寧に管理しているのでしょう。
駅舎内。私が立つすぐそばにベンチがあるのですが、それだけで他はすっきりと空いています。かつての切符売り場も残ってはいますが、はたしていつ以来閉ざされたままなのか。
両手で数えられるだけの列車が示された発車時刻表。その右側には、通過する特急の時刻表が注意喚起のために示されています。
ふと、ディーゼル音が近づいてきました。
行き違いの高知行特急列車。普通列車と行き違うと、もやの中に足早に消えていきます。
駅の正面に出てみました。ペンキのグラデーションが鮮やかです。手間のかかるはずの塗装に、駅に対する地域の人々の思いを感じます。
駅の横の小庭園も、荒れた感じはみじんもありません。その傍らには、実にささやかなバス停の標柱が植わっています。
駅前の通りを歩くと、すぐに国道に出ました。奥には都会と同じ様式の、高速道路の標識と電光掲示板。駅だけを見れば長閑な感じですが、少し歩いただけで、ここが主要道の途中にあることが分かります。
道路の反対側、窪川方面。時折車は駆け抜けていきますが、まだ朝早く、界隈はまだ目覚めてはいません。ともあれ、もう少しすればエンジン音が絶えなくなるのでしょう。
そんな主要道から折れた先、奥まったところに影野駅が佇んでいます。
もやに包まれた小さな駅。しかし、濃色とコンクリートの灰色の中、明るい色を放っています。