土佐山・嫁石の梅林はまだまだ広がっています。
ちなみに前篇が未読の方は、下記リンクからどうぞ。
ところで、冒頭の写真の隅に梅園の立札が立っていたのはお気づきでしょうか。
梅まつりの会場となっているのは、実は個人の農園です。しかも梅は鑑賞目的ではなく、本来は果実の栽培のために植えたもの。これから身をならせなければいけないわけですから、勝手に折るなど言語道断です。どうしても欲しい場合は、枝打ちしたものが破格の値段で売られているので、そちらを買えば良いのです。
ここまで「嫁石」について全然述べていませんでしたが、この名の由来となる石は今も残っています。
写真に「嫁石」の謂れが書いてあります。この通り、今でこそ鉄道や舗装道は別のルートを経由していますが、昔は高知の街と嶺北(高知県北中部)とを結ぶ往還(主要道)がこの近くを通っていたために、いつしか道中の大石が「嫁石」と呼ばれるようになったとのことです。
で、この「嫁石」には「未婚の女性が座れば結婚できる」という伝説があるのですが、よくよく読んでみると、昔からの伝承どころか、平成に入ってからの思い付きが発展したというのが分かります。この掲示が正しければカップルは生まれたそうですし、主催者の解説では3組がゴールインしたとの話ですが、それにしても、伝説・伝統というものは創られるものなのだな、というのを再確認した次第です。ホブスボウムを読み直さないと。
とはいえ、教科書に載るレベルの大きな歴史的出来事はなくとも、昔の人々の生き様を後世に伝える地域の資源を遺し、行事のネタにすること自体が否定されるわけではありません。問題はあくまでも「伝説」の創作性なわけです。
もっとも、人によってはそんなことどうでもいいから、「伝説」がいう「座れば結婚相手が見つかる」というのが正しいかどうかが気になる方もいらっしゃるかも知れません。ただまぁ、それは何とも言いようがないので、どーしても気になるのなら嫁石まで来て試してみてください。良縁成就を祈ります←既婚者目線
閑話休題。嫁石からさらに山の方へと梅園は続いていきます。ご覧の通り見る者に梅の花の一団が覆い被さってきます。
梅はまだ満開ではないですが十分見頃、次の週末辺りはさらに壮観でしょうね。
梅園の端では渓谷に木の板が渡されていて、向こう岸に渡れるようになっています。
梅も美しいのですが、渓谷の空気も気持ちを和らげてくれます。橋を渡って、渓谷沿いに主会場へと戻ることにしました。
と、
なんでこう、いちいち小ネタを仕込んでくるかね……
さておき、つっかい棒の先には、梅、梅、梅。
梅が続く渓谷。この先まで行って、帰って来たのです。ここから少し下れば主会場です。
山沿いを歩くと、フキや山菜が自生しています。ただ地元の人間でもないので、獲るのは控えたいところ。もっとも、食べ頃は過ぎているようですが……
主会場に戻ると、ちょうど岡豊太鼓の披露中。残念ながら演奏中の写真のアップは控えさせていただきますが、和太鼓を叩くだけでも大変そうなところ、さらに振り付けまであり、余程練習したのだろうと思えてきます。
太鼓の演奏も終わったところでお昼ご飯。人気の山菜うどんは行列ができていて、山菜が揚がるのを数分待たないといけませんでしたが、その分揚げたてにありつけました。
となりにあるのは「とんとんまんじゅう」。嫁石の近く、ホテル「オーベルジュ土佐山」の隣にある直売所「とんとんのお店」で打っているまんじゅうの出張販売です。こちらは帰ってから、おやつに食べるとしましょうか。
主会場近く、先程の渓流を下ったところ。
渓谷だけでも名勝となりそうなところですが、年中普通にあるものではやはり訴求力に欠ける。梅まつりは期間中6,000人の来客を見込んでいるようで、やはり季節感のある行事は強いです。
一通り梅園を見たので、お暇することにしました。帰り道も梅がいっぱい。
これがさらに満開になるとすごいでしょうね。
嫁石の梅まつりは今月21日まで。ただ今年は開花が早いそうで、できれば今週末に言っておくことをおすすめします。ここまで梅の話ばかりしましたが、道中は菜の花も咲き乱れていて、春を実感できること請け合いです。
ただし、梅まつりには自動車で行き来することになるでしょうし、特に主会場付近は、と・っ・て・も、道が狭いです。くれぐれも注意してくださいね。