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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

三江線最後の旅(0)島根へ

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 中国山地のふもとに位置する三次駅から、日本海に抜けて江津駅までを結ぶJR西日本三江線。これまで幾度となく廃止が噂されながらも生き延びてきた、日本屈指の閑散路線が、ついに今年4月1日付でその歴史を終えます。

 

 

 まだ鉄道が長距離輸送の主役だった頃、山陽地方と山陰地方を結ぶ路線がいくつも計画され、工事が進められていました。その中には、現在も特急が行き交う幹線もあれば、建設が途中で凍結され、そのまま未成線と化したもの、計画倒れで終わったものもあります。

 そんな中、三江線は戦争による工事中止、国鉄の経営悪化という厳しい状況にもかかわらず、1975年に全線開通に漕ぎ着けます。しかし、時は既にモータリゼーションと過疎化が進む中でした。メインルートから外れ、優等列車もない路線は、都市間輸送の役割を果たすことはなく、地域輸送を務めるのみとなります。

 その後も人口減やさらなる自動車普及に抗い、災害による長期不通にもめげず、三江線は地元の人々の支援を得つつ、存続の道を模索し続けます。しかし、減り続ける乗客数は回復することがなく、JR西日本は路線全廃を決断。地元との交渉の末、2018年3月31日に営業を終了することとなりました。

 私自身、子どもの頃から時刻表を見ては乗車することを考えていたのですが、何せ全線を走る列車が極端に少なく、そもそも三次や江津に行くだけでも、時間も費用もバカになりません。ようやく乗りに行けたのは、7年ほど前の一度きりでした。

 そういうレベルなので、廃止の決定に対して偉そうに言えることは何もありません。ただ、なくなってしまうのであれば、その前に一度訪れておきたい。

 廃止が決まってからというもの、同じ考えの人で三江線は混み合っているようです。だったら廃止が決まる前から乗っておけと言われればその通りですし、「葬式鉄」という揶揄も頭をよぎります。ただそれは重々承知の上で、生まれてこの方一度たりとも乗ることのできなかったローカル線の廃止を見続けてきただけに、せめて乗る機会があるのであれば、何を言われようが乗っておきたい思い強まります。

 幸い、青春18きっぷの余りはある。どうにか捻り出せた休み(と言っても旅先で仕事はするのですが)を使い、三江線への旅に出掛けました。

 

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 島根県出雲市、出雲縁結び空港。高知から普通列車で出雲まで行く時間的余裕など、今の私にはありません。何とか探した安い航空券で飛行機を乗り継ぎ、島根に降り立ちます。

 

 参考:ぶらり三江線WEB