中村からの普通列車はようやく終点の宿毛に着きました。四国の鉄道では南の端、そして西の端まで来たことになります。
宿毛駅で並ぶ普通列車。一方の列車が出るまで、まだ何十分もあります。
四国を縦断してきた鉄路の終わり。そして、かつて特急列車がこの車止めを破った悲惨な事故の現場でもあります。
■ 土佐くろしお鉄道宿毛駅衝突事故(国土交通省運輸安全委員会)
車止めの上には津波注意の標識。駅から海は見えませんが、少し歩けば松田川の河口に出るだけに、いざ南海トラフ地震という時の被害は懸念されるのです。
宿毛駅の外に出てみました。四国西南のターミナルとしては、簡素なデザインの駅名表示です。
駅前のモニュメント。高床式の泊り屋と、冬の宿毛湾に沈むダルマ夕日が描かれています。
駅前のバスターミナル。ここからは高知市や関西への高速バスとともに、大月町や愛媛県南部へのバスが出ています。鉄道では最果ての宿毛駅ですが、四国の果てはまだ先です。
宿毛駅の駅舎。一直線に伸びる高架は、終点の駅ではないような造りに見えます。
駅の西側は平らな壁になっているのみ。特に装飾もありません。
本来ならば、ここからは愛媛県南端の御荘、津島を経て、宇和島までの鉄道が建設されるはずでした。しかし、国鉄の巨額赤字が問題化するとともに計画は放棄され、実現することはありませんでした。
すぐにでも壊して高架を伸ばせそうなこの壁から、叶わなかった鉄道の夢を物語る声が聞こえるのは、私だけでしょうか。
駅の西向かい、世が世ならさらに線路が延びていた先。今はそんな計画の跡すらなく、幻の鉄道が走る先には、駐車場や住宅が置かれています。
駅の北側。駐車場があるほかは、とりたてて何もなさそうです。
駅の北隣には、水田と住宅が混在しています。南側と違い、駐車場が無ければ駅前という感じはありません。
駅の中に戻りました。新暦の七夕の日は終わりましたが、駅内にはまだ飾りが残っていました。
この日は展示会だったようで、駅の中は盆栽でいっぱいです。
地場産品を多く扱う売店。キオスクと言うよりも、産直市的な品揃えです。
レジの奥には、宿毛市出身の豊ノ島関のポスターが掲げられています。
地元の農産品や土産物に混ざっておかれていた、陸海空自衛隊の缶詰。方向はとにかく、努力はしているようです。
列車の改札が始まり、ホームに戻ってきました。先程の2両の普通列車が、相変わらず並んでいます。
宿毛からの鉄路。2本のレールは、ここから北海道の端までつながっています。