市役所前電停で福井駅行の電車を乗り逃した私。次の電車を待てるほど、福井に長居はできません。このまま延伸区間に乗れずに帰る羽目になってしまうのか、それとも起死回生の切り札はあるのか?
市役所前から福井駅は1駅、距離は700メートルです。ただヒゲ線はこの区間を少し膨らんだ形で走っています。一直線に伸びる駅前の大通りなら、福井駅までは500メートルちょっと、自分の足で十分移動できる距離です。あとは速度の問題ですが、相手は路面電車、しかも福井駅に着いても方向転換の時間がかかります。
だとしたら……急げば間に合うかも知れない。ならば答えは1つ。走れ!
地下道を通って大通りに出れば、目の前にJR福井駅の高架。福井鉄道の駅は見えませんが、可能性にかけて急ぎます。そして駅そばの交差点にたどり着いたところ、
先程乗り逃した電車が停車中。しかし目の前の交差点は赤信号。次第に出てくる焦りを何とかこらえます。
信号が青になるや大急ぎで道を渡ると、電車はまだ発車待ち。何とか間に合いました。人生諦めるものではありません。
発車した電車は再び市役所前駅を経由して、田原町へ。私は市役所前ですぐに降り、再び歩いて福井駅に戻ります。二度手間も良いところですが、元をただせば電車を乗り逃したのが悪いですし、この区間は意外と電車が少ないので、致し方ありません。
今度は大通りを逸れてヒゲ線の走る道路へ向かい、かつての福井駅前停留所を訪れました。昔ここから電車に乗ったことがあるのですが、停留所にあった屋根や手すりは完全に撤去され、停留所跡は完全に囲まれています。
前日までは電車が折り返していたところ。今は線路が延び、電車はここを通過するだけです。
線路周囲のコンクリートとアスファルトが新しくなっているところからが、今日から使い始める延伸区間です。
旧福井駅前から新たに伸びる路線は、駅前の交差点から左に折れ、福井駅西口の広場に向かいます。
そして福井駅停留所へ。以前より線路もホームも1つずつ増え、敷地は大幅に広くなりました。
真新しい車止め付近から。明るい色合いが、さらにフレッシュさを印象付けます。
駅名板。なおJRやえちぜん鉄道とは違い、こちらの正式な駅名は「福井駅」。だから先程書いた通り福井駅停留所、福井駅駅なのです。
ドタバタ劇はありましたが、旅の目標は何とか達成。ようやくJRの駅を眺める余裕ができると、恐竜の巨大壁画が目に入りました。そういえば、以前訪れた時には駅のベンチに恐竜が座っていましたし、とにかく恐竜で押していくようです。
なので国体も恐竜っぽいキャラクターなのですが、「しあわせ」と言ってしまうネーミングセンスはどうなんでしょうね?
この辺は近年流行りの幸福感指数辺りが噛んでるのでしょう。ただ、幸福感は私の研究の主題ではないのですが、「客観的」なデータを用いたと称する幸福指数はあまり信用していないので(幸福追求権の尺度にはなっても、幸福感自体の妥当な尺度とは思えない)、それを基に幸せだ何だと言われても鵜呑みにする気にはなれません。何より、旧共産圏を研究する者として、役所が幸せをアピールするのって、昔の何かでよくあったよなーという感じがごにょごにょと。
さておき、福井駅の東口にやって来ました。えちぜん鉄道の電車が高架の端で休んでいます。
銀河鉄道999みたいに空に飛び出しそうな構図ですが、電車なので架線がないと無理ですね。
福井での予定も終わり、後は帰るのみ。時間があれば青春18きっぷの旅と行きたいところですが、その時間がない。ならば特急と新幹線を乗り継ぎたいところですが、そのお金もない。苦肉の策が高速バスで大阪に出て、さらに高知行の高速バスに乗り継ぐことでした。
福井-大阪、大阪-高知のバスがどちらも経由する千里ニュータウン。これまで何度も通ってきたバス停ですが、降りるのは初めてです。
南行のおりばから北行きののりばへ。近畿をはじめ関東、北陸、東海、四国、九州などなど、ここから各地に路線が延びています。
かくしてよさこい号が到着。北海道からはじまった旅は、この1年ですっかり慣れ親しんだバスでの帰り道で幕を閉じました。
(了)