ふと、昔の旅の写真を見返してみました。
4年前、それまでは通過したことしかなかった熊本の地に初めて降り立ちます。空港近くで出迎えてくれたのは、大津町の野趣に富むキャラクターでした。
市内に入ると、本場熊本のくまモン登場。いまや世界中で姿を見るので、「熊本にもくまモンがいるんだ!」と勘違いな驚き方をする人もいるとかいないとか。
熊本から電車で南下して八代駅へ。ここからは昔々の幹線、今は鄙びたローカル線の肥薩線で南九州を縦断します。
人吉駅で乗り換え。派手さの無い、それでいて色調の整った、シックな駅舎に似合う暖簾や広告に、気づかいとこだわりを感じます。こういうのは好きです。
駅前にあった城の模型。時計があるということは、時間になればからくりがでてくるのかな?
人吉で見つけた焼酎。熊本と言えば米、大分と言えば麦というのは私の先入観でしょうか。
ちなみに、この時のデザインはダイエー時代のものなのですが、そのダイエーも今は無く、松中もホークスを戦力外となり、バットを置きました。
時の流れ。
本当は人吉からくま川鉄道に乗るべきところ、時間も無く、この時は日本三大車窓の1つに数えられる山越えで鹿児島へ抜けたのでした。
そのくま川鉄道に乗ったのは、その次に人吉に来た時。開業以来の車両と思しきレールバスがまだ頑張っています。
下校途中で賑やかな高校生と乗り合わせ、くま川鉄道を乗り通して湯前駅へ。終着駅はローカル線の駅というよりも、地域の拠点として整備されています。
不思議なデザインの建物。ただ中は何だったのか、今は記憶から抜け落ちています。
発車を待つ車内にて。球磨の焼酎は、量が多くてカップがついているのが酒呑みには嬉しいのです。
高知の酒造会社もやれば良いんじゃないでしょうか?2合のペットボトルにカップを付けて、車内で献杯返杯。
南阿蘇鉄道は立野から高森まで、20キロ足らずの路線を持つ第三セクター鉄道の老舗。終着駅高森に着くと、時計台のようなデザインの駅舎が出迎えてくれました。
かつて活躍した軽量級、C12蒸気機関車が保存されています。
駅で見つけた木製のくまモン。熊だけに木彫り、と言いそうになりましたが彫ってるわけではないようです。
立野駅に戻り、ここから再び豊肥本線で熊本市内へ。立野駅から大分方面へのスイッチバックの案内板、標高差に驚かされます。
熊本市内から市電を乗り継いで今度は熊本電鉄藤崎宮前駅へ。パチンコ屋の広告の横で、ターミナルの駅がつつましく佇んでいます。
都営三田線から移籍してきた電車が発車を待っています。かつての地下鉄が、一部路面を走る路線を行き来しています。
藤崎宮前からの電車の終着駅、御代志。かつてはここから菊池まで線路が伸びていましたが、廃止されてしまいました。ただ、一部を復活させようという動きもあるようで、気になります。
ここから来た熊本まで引き換えし、上熊本への路線に乗り換えたのですが、その時の話は、当時乗った電車に関するエントリで。
帰りに見つけたくまモンのノンアルコールビール。酒呑みにあるまじき選択も、くまモンに釣られた次第です。
そして、九州で乗り残した路線を片付けるべく赴いた次の旅。
宮崎、長崎と順調に消化し、博多からの特急で降り立った別府駅。足湯の横の銅像が何だったのか、今となっては分かりません。
別府でのターゲットは、市内の遊園地ラクテンチに向かうケーブルカー。
発車前の車両。奈良・生駒のケーブルカーとよく似た風貌です。どちらも遊園地行きというのも一緒。
一直線の線路の先に、終着駅と交互に走る車両が見えます。その上は観覧車、いかにも遊園地です。
ケーブルカーの料金は遊園地の入園料込み、ケーブルカーの利用だけできっぷは売ってくれません。なので散歩がてら園内を歩くと、すぐにあひるの競争というのに出くわします。
ケージの中をアヒルが競争するというコーナー。アヒルも慣れたもので、出走時間になれば勝手にゲートに入り、ゲートが開けば一斉にスタートします。結果は……とりあえず、私の予想が外れたことは覚えています。
遊園地から一望する別府の街。この先に四国、小豆島、神戸、大阪。
一度船で横断したことがあるのですが、またのんびり旅してみたいものです。
別府と言えば当然温泉。ホテルの内湯もありますが、外湯にも入っておきたいところ。こちらは駅前高等温泉、どう高等なのかは分かりませんが、寒い季節にはありがたい、しっかりしたお湯でした。
別府で投宿し、翌日は再び熊本へ。
その名もずばり九州横断特急。別府から大分、豊肥本線で熊本を経て人吉まで走ります。ただ現在は熊本・人吉間の運転は無くなってしまいました。
阿蘇山付近を走る特急。
豊肥本線の特急は、九州横断特急の他に、熊本から宮地までの観光特急「あそぼーい!」もあります。そのキャラクター、くろちゃんの小屋を見つけました。
熊本市内まで戻って市電に乗車。健軍町、上熊本駅前、田崎町の各終点まで乗り通します。行ったり来たりで面倒と言えば面倒ですが、ショートカットはありません。
熊本駅に戻り、残るJR三角線へ。こちらはファンの写真で作るくまモンのモザイクだとか。
熊本駅で見つけたワンカップとともに、ディーゼルカーに乗り込みます。
列車は順調に走り、三角駅に到着。歓迎の文字に達成感が湧いてきます。
教会、というよりは天主堂を髣髴とさせる三角駅。特に礼拝を行っているという話は聞きません。
帰りの車内から見た島原湾。内海とはいえ、季節風を受けて波は高くなっています。
恵みの海、山、川、大地。鉄道メインの旅とは言え、車窓からの風景は、地元の酒とともに私の道中の友とでも称すべきものです。
しかし、自然は時に人間に抗い難いほどの鋭い刃を向けてきます。そしてその前に、人間にできることはあまりにも限られます。
ただだからこそ、人間は己にできることを精一杯努め、それでも力及ばないことには、祈るのだと思います。
今回の一連の地震で、被害に遭われた方にお見舞い申し上げます。
まだ揺れが続いていて、本当に不安だと思います。ただ、どうか、ご無事で。