JリーグもJFLも大詰め。J3リーグへの残留、JFLからJリーグへの入会を争う各チームの状況と残留・入会への条件をまとめてみました。なお、最新情報はこちらのリンクからご覧ください。
- 1. はじめに
- 2. まずは前提条件をおさらい
- 2.1. Jリーグによる規程
- 2.2. J3ライセンスからJリーグへの道
- 3. J3残留争いの現状(11/3終了時点)
- 3.1. 2025J3残留・入会争い一覧表
- 3.2. 自動降格圏(20位)回避は勝点1プラスで決定
- 3.3. 入れ替え戦圏(19位)回避には勝点7が必要
- 4. JFLからは滋賀のみ自動入会または入れ替え戦が濃厚。しかし……
- 5. まとめ
1. はじめに
11月2日(日)の対AC長野パルセイロ戦で連敗を止め、勝点を37に伸ばし、J3残留に向け前進した高知ユナイテッドSC。ただ、具体的な残留の条件となると、イマイチ分かりにくい気がします。
J3とJFLの入れ替えはJFLクラブ次第。よほどのことがない限り3チームが入れ替わるJ1とJ2、J2とJ3とは違い、入れ替えは2クラブになる場合もあれば、ゼロの可能性もあります。実際、2023年にはテゲバジャーロ宮崎が本来なら入れ替え戦対象の19位、ギラヴァンツ北九州が自動降格圏の20位になりながら、JFLからの入会クラブがなくJFL行きを免れています。
J3・JFLの間でクラブの入れ替え、または入れ替え戦(めんどくさいのでここから「入れ替え」でまとめてしまいます)が発生するのは、Jリーグ入りを目指すクラブが条件を満たし、J3入会を認められた場合のみです。もっとも、今年から高知ユナイテッドSCを見始めた方を含め、その条件が分からない方も結構おられるのではないでしょうか。
そこで、今回は入れ替えが起こり得る条件を確認するとともに、11月3日終了時点の成績を踏まえ、実際に入れ替えが起こる可能性について見てみたいと思います。
2. まずは前提条件をおさらい
2.1. Jリーグによる規程
まずはJリーグ公式で規程を読んでおきましょう。既にご存知の方もおられるとは思いますが、復習もかねて。
ここで、J3クラブとJFLクラブの入れ替えについては、以下の通り記載されています。
J3クラブ・JFLクラブの入れ替えについて
(J3クラブの会員資格喪失(※)およびJFLクラブのJリーグ入会)
(1)理事会においてJリーグ入会承認を得たJFLクラブが1クラブの場合
①当該JFLクラブがJFLのリーグ戦年間順位1位の場合
・J3における年間順位最下位のクラブとJFL1位のクラブが自動入れ替え。
・J3・JFL入れ替え戦は開催しない。
②当該JFLクラブがJFLのリーグ戦年間順位2位の場合
・J3における年間順位最下位のクラブとJFL2位のクラブとの間でJ3・JFL入れ替え戦を実施する。
・入れ替え戦に勝利したJFLクラブはJリーグに入会してJ3クラブとなり、敗戦したJ3クラブは会員資格を喪失する。
(2)理事会においてJリーグ入会承認を得たJFLクラブが2クラブの場合
①J3における年間順位最下位のクラブとJFL1位のクラブが自動入れ替え。
②J3における年間順位19位のクラブとJFL2位のクラブとの間でJ3・JFL入れ替え戦を実施する。入れ替え戦に勝利したJFLクラブはJリーグに入会してJ3クラブとなり、敗戦したJ3クラブは会員資格を喪失する。
(3)理事会においてJリーグ入会承認を得たJFLクラブが存在しない場合、J3クラブとJFLクラブの入れ替えは行わない。
※定款第10条第3号の定めに従い、自動的に会員資格を喪失する
ポイントとなるのは、「理事会においてJリーグ入会承認を得たJFLクラブ」が入れ替え対象となることです。つまり、対象となるクラブがJFL1位に入らなければ自動入れ替えはなし、2位にも入らなければ入れ替え戦も行われないわけです。先程見た2023年がまさにそうでした。
では、「理事会においてJリーグ入会承認を得たJFLクラブ」とはどういうクラブなのか?昨年までわれわれも苦しんだJリーグ入会の条件をおさらいしましょう。
2.2. J3ライセンスからJリーグへの道
J3ライセンス交付の条件については、2026年特別シーズンに向けた判定結果を伝えた下記リンク先に記載されています。「J3入会審査項目(Jリーグ規約 第17条第3項より抜粋)」の欄をご覧ください。
今回はJFLクラブのうちラインメール青森、いわてグルージャ盛岡、クリアソン新宿、ヴィアティン三重、レイラック滋賀、ヴェルスパ大分にライセンスが交付されていますが、第27回日本フットボールリーグ(2025年シーズンのJFL)で2位以内の可能性があるのは現時点でラインメール青森とレイラック滋賀の2クラブのみ。この2クラブだけが来季のJリーグ入会の可能性を残しています。
となると、この2クラブの今後の戦いが気になるところですが、そもそも高知が18位以上に入っていれば、入れ替えの心配などせずに済むのです。なので、次はJ3残留争いの現状をチェックしましょう。
3. J3残留争いの現状(11/3終了時点)
3.1. 2025J3残留・入会争い一覧表
J3の順位表はJリーグ公式やスポーツメディアで確認できますが、それだけで18位以上を確保する条件はなかなか分かりません。
というわけで、J3残留争いとJFLの優勝・J3入会圏争いの状況が分かる表をgoogle sheetで作ってみました。
「脱最下位」の列には20位を回避するために必要な勝点(鳥取と琉球は回避確定のためゼロ)、「脱降格圏」の列には19位以下を回避するために必要な勝点を示しています。この表を基に、高知ユナイテッドSCが18位以上を確保し、J3残留を決定づけるための条件をチェックしてみたいと思います。
3.2. 自動降格圏(20位)回避は勝点1プラスで決定
現在20位のアスルクラロ沼津の勝点は25。残りが4試合なので、最大の勝点は25+4×3=37です。つまり、勝点が38あれば、20位に落ちる可能性はなくなります。
現在の高知の勝点は37。沼津が残り4戦全勝した場合と同じです。なので、高知は残り4試合で勝点1を取れば19位以上が確定します。残り4試合で1試合でも引き分ければ達成です。
もっとも、今季は連敗を重ねただけに、残り試合が不安な方も多いことでしょう。確かに、沼津が4連勝、高知が4連敗すれば勝点は並びます。その場合は得失点差等で順位が決まるため、高知にとっては不利ではあります。
ですが、高知と沼津の勝点が並んだところで、現時点で勝点が高知を下回る松本山雅FC、AC長野パルセイロ、ザスパ群馬、カマタマーレ讃岐が勝点を積み上げなければ、どちらも最下位にはなりません。なので、高知が実際に最下位になるのは、
- 高知4連敗
- 沼津4連勝
- 沼津の得失点差が高知を上回る、または沼津の総得点が高知を上回るか等しくなる*1
- 松本山雅FCが残り5試合で2引分以上の成績(1引分の場合得失点差で順位決定)
- AC長野パルセイロが残り4試合で1勝以上の成績(2引分の場合得失点差で順位決定)
- ザスパ群馬が残り4試合で1勝1引分以上の成績(1勝または3引分の場合得失点差で順位決定)
- カマタマーレ讃岐が残り4試合で2勝1引分以上の成績(2勝または1勝3引分の場合得失点差で順位決定)
以上の条件を全て満たした場合だけなのです。ファン・サポーターは気弱になりがちなものですが、冷静に考えれば、これが実現する事態はちょっと想像しづらいです。気を緩めるわけにはいきませんけどね。
3.3. 入れ替え戦圏(19位)回避には勝点7が必要
入れ替え戦の対象となり得る19位を回避するにはさらに勝点が必要です。現在19位のカマタマーレ讃岐の勝点は31、最大勝点は31+4×3=43となります。
ですので、高知が自力で19位を回避するには勝点44-37=7が必要になります。そのためには、残り4試合2勝1分以上が求められます。
ただし讃岐をはじめ松本、長野、群馬次第で、必要な勝点がさらに少なくなる可能性もあります。しかも讃岐は次節からJ2昇格争い真っただ中の栃木C、鹿児島、八戸、そして最終戦は残留を争う沼津という鬼のような対戦が控えています。
讃岐は同じ四国のクラブですし、せっかく土讃戦なんて煽りだしたところなので、何とか揃って残留したいのですが……
4. JFLからは滋賀のみ自動入会または入れ替え戦が濃厚。しかし……
そして気になるのがJFLの状況です。JFLは第27節が終わったところでどのクラブも残り3試合。J3入会圏となる1位と2位の可能性があるのは、Honda FC、レイラック滋賀、ラインメール青森、ブリオベッカ浦安・市川の4クラブに絞られました。
このうち、J3ライセンスを交付されたのは滋賀と青森の2クラブ。両クラブ公式の発表を見る限り、順位以外の条件はクリアがほぼ確実なようです。なので、両クラブの最終順位次第で入れ替えの可能性は以下のようになります。
- 滋賀と青森双方が2位以内→1位クラブが自動入会、2位クラブが入れ替え戦
- 滋賀または青森が1位、かつHondaまたは浦安・市川が2位→1位クラブが自動入会
- Hondaまたは浦安・市川が1位、かつ滋賀または青森が2位→2位クラブが入れ替え戦
- Hondaと浦安・市川双方が2位以内→入れ替えなし
というわけで、入れ替え対象クラブは理論上、2からゼロの可能性があります。
ただ、現実は順位と勝点の差が示します。4クラブの現在の順位と、2位までに入る可能性については、先程ご紹介した一覧表にまとめましたので再掲します。
現在Hondaと滋賀が勝点54で並び、得失点差でHondaが上回るというデッドヒート!なのでどちらも残り全勝しても優勝できる保証がありません。ただ、どちらも残り3試合で1勝か無敗(3引分)なら2位以内が確定。滋賀は自動入会または入れ替え戦のどちらかになります。
一方、3位青森と4位浦安・市川は優勝の可能性を残していますが崖っぷち。青森は残り3試合で1敗またはHondaと滋賀がともに1勝、1引分でもHondaと滋賀がともに1引分以上で、今季のJ3入会はなくなります。さらに浦安・市川はHondaと滋賀が1引分した時点で、全勝しても勝点が届かなくなります。
ですので、現実的には入会候補は滋賀1クラブにほぼ決まった状態です。もっとも、滋賀が優勝して自動入会を果たすか、2位で入れ替え戦に回るかは分かりません。得失点差から言えばHondaが有利ですが、あくまで大事なのは勝点です。
このことは、J3クラブは19位以内を確保できれば残留は確実ということを意味します。また、20位になった場合も会員資格自動喪失を回避し入れ替え戦に回る可能性があることにもなります。
なお、優勝を争う両クラブに立ちはだかるのが、なんと崖っぷちの浦安・市川です。第29節はホームで滋賀戦、最終第30節はアウェイですがHonda戦、両チームとの直接対決が残っているのです。その前の第28節でヴェルスパ大分に勝ち、Hondaと滋賀がともに敗れれば、という条件付きではありますが、もし本当にそうなれば、浦安・市川に大逆転の夢が見えてきますし、ことによっては浦安・市川が滋賀を弾き出す可能性も生まれます。そうなるとJ3の全クラブが残留確定です。JFL最終盤、J3との入れ替えを抜きにしても目が離せなくなってきました。
5. まとめ
ここまで2025年シーズンのJ3・JFL入れ替えについて見てきました。ただ長くなってしまったので、簡単にまとめるとこうなります。
これはあくまでも現時点での見込みです。目指すべきはあくまで18位以上の確保です。とはいえ、昨日の勝ちで最下位回避まであと勝点1となったことで、残留の可能性がかなり高まったことは間違いないでしょう。
ただし、残留争いを左右するのはJFLの上位の動向。ここで忘れてはならないのが、先程も述べたように、
というわけで、それでは皆さん、ご唱和ください、
ブリーオベッカ!!(ドドンドドンドン
ブリーオベッカ!!(ドドンドドンドン
*1:年間の対戦成績は沼津の2勝のため、総得点が同じ場合は沼津が優先されます。
