3710920269

「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

夢への大きな半歩:高知ユナイテッドSC対ヴェルスパ大分@春野陸(2024.9.1.)

 

 高知の民官財を挙げた大動員が繰り広げられたのに、台風10号のため予定変更を余儀なくされたヴェルスパ大分戦。高知力結集の成果は、はたして……?

 

 

 この夏、高知県では毎日のように高知ユナイテッドSCの話題が飛び交っていました。J3入りに向けた入場者数条件をクリアするため、8月31日の対ヴェルスパ大分戦での入場者数5000人以上、なんなら10000人という目標が掲げられたのです。

 この目標を達成すべく、民官財を挙げてのキャンペーンが繰り広げられました。クラブがメディアで取り上げられる機会や街中のチラシ・ポスターは調べるまでもなく増えましたし、大学内の電子掲示板でも観戦のお誘いが回ってきたほどです。

 それなのに、台風10号が四国に迷い込んだせいで、当初の予定で試合ができなくなり、9月1日(日)15時に順延となりました。観客動員的には大打撃になるかも知れませんが、落ち込んでいる場合ではありません。

 そして1日、台風一過の好天です。暑さが気になるとはいえ、まだ希望はありそうです。もちろん私も春野に向かいます。

 

 

 高知駅前のこうち旅広場からシャトルバスで春野総合運動公園陸上競技場へ。事前に購入していたチケットは振替利用が可能で、当初の時間指定もなくなりました。31日は学会を途中で抜けて観戦に行くつもりで、最終の時間帯で予約をしていたのですが、これで少しだけ前倒しすることができました。

 ちなみにシャトルバス振替に関する情報は、SNS高知ユナイテッドSC社長からご教示いただきました。あらためてお礼申し上げます。ありがとうございました!

 

 

 はたしてどれだけの人が来ているのか?気になってメインゲートの方に行ってみました。

 そしたら、人がめちゃくちゃいっぱいだったんです。

 で、よく見たら……と、古の吉野家コピペ状態でした。

 

dic.pixiv.net

 

 せっかくなので私も改変してみようかと思ったのですが、何せ古いネタなので知らない人が増えているようです。なので迂闊に書いたら、旧twitterでネタと分かってもらえずブチギレされるという諸刃の剣。素人にはお勧めできません。

 

 

 ……修正です。人がめちゃくちゃいっぱいと書きましたが、カワウソも混ざっていました。

 

 

 ともあれ、少し並んで、キックオフ30分前ぐらいに入場です。

 ご覧の通りメインスタンドはいっぱいです。他も日陰はほぼ占拠されていて、アウェイゴール側は空きがあったとはいえ流石に遠慮して(アウェイサポは2階スタンドに陣取っていて、1回の日陰部分とは完全に離れてはいましたが)、バックスタンドに座ることにしました。

 実は、当日は先着5000人に限定Tシャツを配布するとのことで、私が競技場に着くと、もらったばかりのTシャツを着た人をあちこちで見かけました。そして、私が入場した際には、Tシャツは既に配り終わった後でした。

 Tシャツがもらえなかったのは、かえって私には朗報でした。むしろ、私の入場時点でTシャツが残っているようなら、入場者数が振るっていないということですから。

 ……これはいけるかも知れない。希望が見えてきました。

 

 

 ホーム側横断幕。ホント、こんな大変なときに大分からわざわざおいでてくれたのは有難いことです。

 

 

 この日は高知銀行の冠試合「こうぎんビビッドマッチ」。試合前に森下会長のご挨拶があったのですが、見事にスプリンクラーとかぶってしまいました。

 

 

 なので、スクリーンにて。

 

 

 続いて濵田知事も登場。県もこの試合に懸けています。

 

 

 

 

 

 キックオフも近づき、選手入場です。

 

 

 この日は高知銀行頭取によるキックインセレモニーがあったのですが、バタバタしているうちに写真は撮れず……

 そうするうちに、いよいよキックオフです。今回は高知ボールから始まります。

 まずは、本日のメンバーについて、アウェイのヴェルスパ大分から。

 

 

 そして高知ユナイテッドSCのメンバーです。

 

 

 前半はお互い攻め合い。決定機に近い場面もありましたが、キーパー以下身体を張った守りで得点は動きません。

 

 

 前半25分に試合をいったん中断。クーリングタイムに入ります。以前は飲水タイムと言っていたのですが、ベンチで水分補給を行うのから、いったん控室に下がって休むように変わったようです。

 

 

 試合再開。この後も両チームとも攻めきれないまま時間が経過します。

 

 

 クーリングタイムの影響で5分のアディショナルタイムを経て、前半終了。0-0で折り返します。

 

 

 ハーフタイムに登場したのは、よさこいチーム「祭り三代・IKU!」。その名の通り三世代が踊り子として活躍するチームです。

 

matsuri3daiiku.wixsite.com

 

 

 本祭でも披露された演舞が、陸上競技場で繰り広げられます。

 

 

 目の前にはほぼ埋まったメインスタンド。試合順延が決まったときには不安でしたが、それでもここまでの賑わいができたことにはホッとしています。

 

 

 続いては、パリ五輪金メダリスト桜井つぐみさんのビデオメッセージです。高知県勢92年ぶりというので、帰高の時には大盛り上がりでした。

 

 

 高知銀行の冠試合なのでハーフタイムに広告も出ます。こちらは高銀が売り出し中の高知ユナイテッドSCの応援定期。特別金利の上にチームへの支援金寄付がついてきます。

 ただ申し訳ないのですが、この種の預金を見る私の目は厳しいのです。自慢じゃないですが、尼崎信用金庫阪神タイガース応援定期が登場した時から知っているわけですし。

 その目をもって言わせていただけるならば、チームの成績に応じたお楽しみがないのはどうにも寂しい。必ずしも預金者全員ではなくて、抽選でも構わないのですが、勝利数や勝ち点、あるいはゴール等による特典がないと、チームに献身的な人以外を惹き付けるのは難しいでしょう。

 マイナス金利が終わったと思ったら物価上昇や為替の乱高下、肝心の金利動向も読みづらいとなれば、大変なのは分かります。とはいえ、この商品で本格的に預金を集めたいのであれば、もうひとひねり、ふたひねりは欲しいところです。それかグッズつけて

 

 

 後半が始まるので試合に戻ります。こんどはヴェルスパのキックオフです。

 

 

 すると50分、ヴェルスパは左からのクロスを入れてきたところ、クリアボールを右からFW40番中井が決めて先制します。

 

 

 すぐさま反撃したい高知でしたが、その後もヴェルスパの攻撃を凌ぐ展開にさらされます。吉本監督は64分に一挙3人を代えて打開を図りますが流れは変わりきらず、そのまま70分にクーリングタイムとなりました。

 その後、76分に試合再開。高知は81分にコーナーキックを得たものの、得点には結びつきません。

 そしてその直後、本日の入場者数が発表されると、スタンド全体から驚きの声が上がりました。

 

 

 本日の入場者数、11085人!

 

 

 もっぺん確かめてみましたが間違いありません。11085人!5000人どころか10000人すらゆうに超えて、11085人です!

 

 

 これに勢いを得たのか、84分には高知がエリア左隅すぐ近くからフリーキックと、ここまで最大のチャンスを得ます。しかし、惜しくも得点は奪えず。

 

 

 それでも諦めるわけにはいかない高知。9分ものアディショナルタイムに反撃の機会を伺います。

 しかし、何とかボールを取るものの、ヴェルスパが積極的に向かってくる勢いに押され、ボールを前に遅れません。逆にアディショナルタイム8分にはコーナーキックを許してしまいます。

 

 

 結局そのまま試合終了。0-1、高知は大一番を飾ることができませんでした。

 

 

 最終スコア。とりわけ後半はもどかしい展開でした。

 前半は動けていただけに、大観客で浮足立ったのではないと思います。むしろ、中断後の初戦ってやっぱり入りが難しいよね、という普遍的な課題だったような気がします。

 ですが、どうしても残念なのが、スタジアム全体が盛り上がる時間帯をほとんど作れなかったこと。得点ばかりか、後半に至ってはシュートゼロで、これではスタンドを盛り上げるのはどう考えても不十分でした。

 スタジアムがほぼ360度盛り上がる、地鳴りが沸き上がるような感覚。この感覚は、いちど味わえば多くの人を魅了します。その魅力を知った人は、試合結果やチーム状態はどうあれ、スタジアムにまた足を向けるのです。

 私はその感覚とともに育ってきたもので、規模こそ違え、高知でもその感覚をいろいろな方々に体験してもらいたいと思います。そして何よりその可能性があることを、この試合のスタンドを見て確信できました。だからこそ、そこまで盛り上がる場面に乏しい試合展開だったのが悔やまれます。

 ただ試合内容と結果を別として、興行としては成功したと言っていいでしょう。大きなトラブルや事故も聞き及んでいませんし。

 それを踏まえて、Jリーグ入りに向けて必要な残りの入場者数、また概算での入場料収入「ノルマ」を更新しました。後者は1人当たり入場料収入が第17節終了時点までと変わっていないとの仮定を置いての算出なので、実際の値とは異なります。とはいえ、単価が大きく下がる事態は考えにくいので、現実から乖離しているとは思っていません。

 

docs.google.com

 

 そんなわけで、この試合で入場者数とおそらく入場料収入は前進、一方で試合は足踏み。なのでJリーグ入りの夢に向けて大きな一歩は果たせなかったまでも、半歩は踏み出せたというところでしょうか。この半歩をどう評価するかは分かれるでしょうが。

 そして、勝ち点、入場者数等あらゆる面で、今後のホームゲームがますます大事になってきました。次回は9月15日(日)、春野陸上競技場でティアモ枚方戦が15時キックオフです。