高知に来て7年目になるのに、実は今まで来たことがなかった高知市東部総合運動場野球場、通称東部球場。福岡ソフトバンクホークス三軍との交流戦で、初めてやって来ました。
さて、多分に漏れず高知県でもCOVID-19が急拡大。ついに高知市内はまん延防止等重点措置の対象となってしまいました。
まずは高知県庁からの案内をご覧いただきましょう。
■ 「まん延防止等重点措置」の適用に伴う高知市及び県全域を対象とする追加の協力要請(高知県庁、2021年8月28日閲覧)
イベント開催時の人数上限は5,000人とありますが、人口が70万人を割った高知県ではそもそも5,000人も人を集められない気が……
ともあれ、高知市民として気をつけなければいけないことが書かれていますし、それは確かにその通りで遵守していきたいと思います。
それと同時に、です。
これだけ感染が拡がってしまうと、感染予防に加えて、「いざ感染したらどうなるか」も、現実の問題として考える必要がいや増します。少なくとも、ワクチン接種が完了し、リスクが下がるしばらくの間は(この「しばらく」ってのが難儀な話ですが……)。
そこで考えるべきはいろいろありますが、私はこういう時に最悪のケースから想定するのがクセになっています。
なので、感染、発症して症状が悪化、家族にも会えずに孤独に死んでいく。あるいは死ぬまではなくとも、元通りに生きられないほどの後遺症が残る、ということは、どうしても考えてしまいます。
その時に、こんなことになるなら、あれもしておけば良かった、これもしておけば良かった、そういう後悔とともに、ひとり寂しく灰になるとしたら……
嫌だ!それだけは、どうしても嫌だ!そんな思いが湧いてきました。
ならば、どうすれば良いのか?
いちばん大事なことは、感染しないことです。当たり前です。なので、対策に万全を期すことは変わりません。
その一方で、過度な恐れによって、自分のやりたいこと、やるべきだと思ったことを控えるのはよそうという、決意というと大袈裟ですが、意識は持つようにしました。
自粛ってほっとくと自己目的化するし、そこから肥え太って他人まで従わせようとすることだってありますからね。自粛警察なんて最たるもので。
もっとも私の場合は仕事上、特に学生に対する自粛の働きかけをゼロにするわけにはいかないのですが、それでも、というかそれだからこそ、逆にこういうことはできるというところも見せたいとは思うのです。だって、あれをするなこれをするなと言うだけの教員って、単純にウザいじゃありませんか。
……と、いろいろ能書きを並べたところで、やって来ました東部球場。
スタンドは屋根がないので、木陰のある内野の芝生に陣取ることにしました。
目の前には投球練習場。吉田監督が今日先発の宮森と話し合っているところです。
本日のスタメン。表示できる字数が限られているせいか、ビジターは「福岡」の一言です。
そして高知はお馴染みのスタメン。ただ気になったのが、
いくら小字とは言え「ォ」が小さ過ぎないでしょうか……
そしてNPBとの試合、しかも二軍や三軍だと選手にどうしても疎いため、現役時代をよく知っている監督・コーチ陣に目が行ってしまいます。この日は一塁側のボックスに阪神・中日・東北楽天で活躍した関川コーチが入っていました。
さて試合です。高知の先発宮森ですが、序盤からボール先行の苦しい投球が続きます。
初回いきなり先頭の緒方にレフト線を破る3塁打を打たれると、笹川の犠牲フライで1失点。その裏は先頭の濱がヒットを放つものの、ホークス先発田上の荒れながらも強い投球に押されて後が続きません。
3回にはヒット2本と死球で無死満塁のピンチを招き、再び打者笹川の場面を迎えます。ここで宮森は笹川をセカンドゴロに仕留め、まずは松尾から2塁に入った荻須にボールが送られ1塁走者封殺。ところが、その荻須からの送球が逸れてしまい、この間に3塁に進んでいた二走緒方まで生還。結果3点のリードを許すことになります。
ところが、ここでめげないのが今期の高知。その裏、先頭の濱が2打席連続となるヒット、続く松尾が四球を選ぶと、サンフォが三遊間を破ってまずは1点を返します。
このあと2アウトとなったものの、大原が歩いて満塁のチャンスができたところで、大下が押されながらも三遊間に転がる辺りを放ち2打点。ファイティングドッグス、すぐさま同点とします。
そして4回には1死満塁から吉岡が犠牲フライを放ち、ついに勝ち越しに成功します。
関係ないのですが、犠牲フライやスクイズを決めた後の打者って撮れないんですよね。カメラをオンにしていても、ピントを合わせるのに金網と格闘している間にベンチに下がってしまう。撮影が終わるまで立っといてもらうわけにもいきませんし(ぶつぶつ
ここから試合は膠着状態に入り、5回を終了。6回表、高知は宮森に代わり2番手谷村が登板します。谷村は四球こそ1つ出したものの、他は2三振と内野フライという十分な内容で1イニングを抑えきります。
一方の田上も5回降板となり、6回裏からは村上がマウンドを任されます。こちらは走者を出すものの、味方守備にも助けられて、高知打線に得点を許しません。
一方の高知吉田監督はイニング毎の継投に出ます。7回は松田が登板、2アウトから走者を出したものの、大原が盗塁を阻止して結果3人で終えます。
続く8回には4番手で松下が出てきますが、ここが誤算になりました。
先頭の川原田を死球で出すと、笹川のヒットに続き、4番井上のタイムリーで同点とされてしまいます。
続く小林からアウト1つは取れたものの、6番黒瀬に1,2塁間を抜かれ、逆転を許してしまいます。
で、こちらが金網と防球ネットの支柱に四苦八苦している間に、黒瀬は代走伊藤と交代(苦)
その後2アウトとしながらも8番早にもタイムリーを打たれて、2点を失います。松下はこの回4失点。流石に今日の試合は決まったかと思われる展開です。
ところが3点ビハインドの9回表、吉田監督が送ったのはクローザー平間でした。平間はホークス上位打線を3人で打ち取り、この場面でも安定感を見せつけます。
そして9回裏、マウンドを任されたのは中村亮。ホークス公式によれば三軍では8セーブを挙げているとのことです。
しかし、そんな守護神もこの日はサンフォの振り逃げに始まり、続く吉岡の打席ではセカンド内野安打から送球エラーで無死1,3塁のピンチを招く不運に見舞われます。
逆に棚ぼたのチャンスが転がり込んできた高知打線、ここで5回以降の沈黙をついに破ります。まずは長谷部がライト線を鋭く破ると、これが3塁打となり2点を奪います。
さらに1死を挟んで大下が前進守備の二遊間を抜くタイムリーを放って同点に。続いて代打桑原の場面ではエンドランが決まり、1死1,3塁と絶好の場面が出来上がり、8回に代打で出場していた尾野に打席が回ります。
ここで尾野の放ったゴロはセカンドの前に。セカンド川原田はホームへ送球しますが、これが逸れて大下が生還(記録はスチョイス野手選択)。ファイティングドッグス、なんと9回3点差からのサヨナラ勝ちです!
ヒーローインタビューに呼ばれたのはもちろん殊勲打の2人、尾野と大下です。
ただ優勝するぐらいのチームには、シーズンを象徴するような勝ち試合があるように思います。
もっとも、この辺は優勝したからこそ、後で考えたらあの試合が……という図式もありそうで、だとすればこういう試合を勝てたから優勝できた、というのとは順番が逆になるのですが、ともあれ、ひょっとこの試合が、そういうぐらいの重みをもって後々語られることになるかも知れないな、という期待はしたくなります。
先週の日曜日に点灯したマジック10。決して試合の多くない独立リーグで、1週間のうちに消えるどころか4も減りました。この日だけでも香川のダブルヘッダーとこの試合で、マジックは3つも減り、8から6にまでなりました*1。
ただ、まだ余裕も安心もできるところではありません。この勢いのままで最後まで突っ走ってもらいたいところです。
*1:8月28日終了時点でマジック対象チーム徳島の勝率が.400。徳島が残り12試合を全勝しても勝率.625で、高知が残り試合6勝すれば勝率.657となり、高知の優勝が決まります。実は私も勘違いしていたのですが、マジック対象が2位の香川から3位の徳島に変わっていました。徳島の方が残り試合が2つ多いためです