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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

シリーズ土佐の駅(83)角茂谷駅(JR土讃線)

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 大杉村、豊永村、天坪村が昭和の大合併でまとまってできた大豊町(合併当時は村)。現町名に名が遺る2村と比べると、合併で大豊と土佐山田(現香美市)に分断された天坪村は、いささか影が薄い感があります。角茂谷駅は、そんな旧天坪村の中にある小さな駅です。

 

 

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 特急街道を僅かに走る普通列車。1両ワンマン、最小限の編成で、今日も四国の山の中を分け入っていきます。

 

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 列車が去ってしまうと、人影はもうありません。聴こえるのは、川向こうの国道を走る車の音ぐらいです。

 

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 1日数本の普通列車のみが乗った時刻表。夜8時半を過ぎれば、この駅はただ通り過ぎられるだけです。

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 そんなささやかな駅に、休憩所が置かれています。

 

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 かつての村の名を冠した休憩所。単線にホームが1つだけの棒線駅で、僅かな列車を待つ間、雨風をしのげる場所です。

 

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 まだ真新しい休憩所。中は掃除が行き届き、地元の人による写真や花が飾られています。

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 写真の中にはこんなものも。大根が、腹筋をしているようにも見えます。

 

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 高齢者が半数を超えた大豊町。お年寄りが活き活きと暮らせるかどうかが、町の活気を維持できるかどうかに繋がります。

 

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 分かれて消えた村の名を今に伝える休憩所を出て、付近を歩いてみることにします。

 

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 駅のホームの裏にある植え込み。丁寧に剪定されているのが分かります。

 

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 1日に10本も列車が止まらない小さな駅。それでも、そこを守ろうとする人々の存在は、人影がなくても理解できます。

 

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 かつての小中学校跡。調べてみると廃校ではないようです。

 現役の校舎と言われても不思議はない、朽ちたところの見当たらない校舎が、子どもたちが戻ってくるのを静かに待っています。

 

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 川向うからエンジン音が聞こえてきました。多くの自動車が高速道路へと去って行った国道を、バイクが軽快に駆け抜けていきます。

 

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 駅に戻ると、湧水が出ているのを見つけました。水は少しずつ、しかし絶えなく湧いているようです。

 

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 再びホームへ。カーブの先から峠を越えて、降りて行けば土佐山田から高知への平野が広がります。

 

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 分断され消えて行った天坪村。しかし、角茂谷駅には、その村が確かにあったことが遺されています。

 

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 そんな角茂谷駅に、列車が再び到着。列車は普段ならゼロでもおかしくないはずの乗客を乗せ、高知へと去っていきました。