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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

【地域実習振り返りレポート】(12-1)恵みの雨降る夢の里(大豊町・2016年4月27日)

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 今年度2回目の実習は大豊町東豊永地区で雨天決行。あいにくの雨ではありますが、大平集落と怒田集落で、これからの活動についてお互いの意見や質問を交換します。ただ写真が多いので、今回はまず大平集落での実習についてレポートします。

 

 

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 高知道大豊インターから国道439号線に乗り、国道32号線との共用区間を走った後JR豊永駅近くの三叉路で東に折れ、トンネルの手前でバスを下車。ここからは細い道が続くので、集落まで20分ほど山道を歩きます。

 途中通ったのが、こちらの常福寺。境内には郷里の人々が使ってきた貴重な民具を収集した豊永郷民俗資料館も置かれています。資料館は建て替えが進められ、先月末再オープンしたばかり(参考:高知新聞記事)。

 東豊永にはどうしても実習でばかり来るので、寄り道をする機会がなかなかないのですが、一度訪れてみたいところです。

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 境内は茶畑になっていました。高知の山間は知る人ぞ知る茶所なのです。

 

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 ここからは1車線の道を歩きます。細い道なので5ナンバーの車でも難しいのではないかと言っていたのですが、そのそばから3ナンバーの車が通るのを見かけました。いけるやん。

 

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 歩いていると、ギャラリーへの案内板を見つけました。このギャラリーがこれから向かう先です。平地ではありませんが、400メートルならどうということはない距離です。

 

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 100メートルごとに置かれた案内板。

 

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 上り坂の途中に休憩所が設けられていました。造り自体もスタイリッシュですが、丁寧に手入れや掃除がされているようです。大事に使われているのを見るのは嬉しいものですね。

 

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 大平集落に入りました。大庄屋と村の役所跡を示す看板が建てられています。今でこそ大平は人口20名足らずの小さな集落ですが、かつては付近の中心地だったようです。

 

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 現在は集落にUターンしてきた方が花畑を整備拡大、さらには先程の看板のあったギャラリーを開設していて、集落は鮮やかに彩られています。

 

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 こちらがギャラリー「夢来里」。自治体や企業ではなく、あくまで個人が独力で作り上げてきたものです。この花のゲートなど、相当の手間と時間がかかっているはずです。実際に見ると感動モノですよ。

 

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 昔のタバコ屋さんを彷彿とさせるイラスト。本人は楽しんで描かれていると思うのですが、細部まで丁寧に描き上げられているのを見ると、凄い(小並感)としか言葉がありません。

 

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 ここで集会所(これも民家を改装したものだそうです)に上がらせていただきます。今回ここに来た目的は、はそんな活動についてお話を伺うとともに、今後地域協働学部の学生が集落でどう活動していくか、意見を交換することです。ギャラリーも花畑も大々的な宣伝は全くしていませんが、次第に存在が知られるようになり、現在は何度も足を運んでくる人が増えたとか。そんな来訪者とのつながりについて、話を聞く学生はそれぞれ感銘を受けた様子でした。

 

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 意見交換会の後は再び花畑を見せていただきます。花の数もさることながら種類も本当に豊かで、見ているだけで幸せな気分になるのですが、悲しいかな風流を解しない私には花の名前を覚えることがなかなかできません。雨でなければメモもできたのですが、と言い訳もありますが、どうにも申し訳ないことです。

 

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 この一面に広がっているのはイブキジャコウソウ。タイムの一種だそうです。なんでこれだけ分かるのかというと花の名前の札を写真に撮っておいたからです。

 

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 庭園の奥に見える建物のうち、左側はギャラリーで、右側は現在改装中。夢はまだ広がります。その夢に地域協働学部の学生がどう関わっていくかが、これから問われていきます。

 

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 もっとも、高知大学の学生との関わりは既に始まっています。こちらは農学部の学生団体「おむすび」が耕している大平の元休耕地で、現在はジャガイモを植えているのだそうです。

 このような取り組みがある一方で、われわれの学部はどうすべきか。ギャラリーや花畑の活動をお手伝いできれば、それは素晴らしいことですが、そこにプラスアルファがないと、学部のミッションは果たせないわけです。

 とはいえ、企画・事業をバンバン立ち上げてやみくもに知名度を上げたり、来客数を増やすのが方向性としてあっているとはとても思えません。現実的なキャパシティもありますし、まして営利目的の施設ではないわけですから、訪れてきた人との触れ合いや繋がりを大切にする方が、むしろ愛される地域づくりにつながるはずです(この点は学生も理解できていると思っています)。ただそれならそれで、来客数等の定量的な評価軸ではなくて、触れ合いや繋がり作りに関する定性的な軸を考え出さないと、学生の取り組みを客観的に評価するのは難しいわけで、うーむ……

 目の前の光景に感嘆しつつ、こりゃ大変だという思いは当然あります。でも、そんな評価軸づくりも含めて、うまくいったらとんでもなく面白いことになるぞ、という妙な高揚感も湧いたりします。

 

 よろしければ、学部からのお知らせもぜひ。

 

www.kochi-rc.jp