東日本大震災と福島第一原発事故で不通が続く原ノ町から竜田の間で、今年(2015年)1月から代行バスが運転されるようになりました。この旅のもう1つの目的が、このバスに乗車することです。
昨年末の時点で、JRの列車営業区間のうち定期的に列車が運転されている区間は列車で、不通状態で代替手段がある区間(BRT化された区間、代行バスの運転区間と振替輸送区間)は全て乗車していました。ただ、原ノ町・竜田間は代替手段がなく、未踏の地として残っていたのです。
それが代行バスの運転が始まったというので、かなり遅まきながら足を踏み入れることが可能となりました。これで、代替手段を含めればJR線最後の未乗区間がなくなることになります。
代行バスの原ノ町停留所は駅のすぐそば、簡素な標示板が立てられています。
ただ、他の路線ではあり得ない注意書きが示されています。この通りであれば、被ばく量はX線の集団検診1回分にもはるかに及ばないようです。
代行バスの時刻表。運転は1日2本、運転される時間帯も含め、ハードルが高い設定です。地元の人々にとってこの時間帯がどうなのかは分かりませんが、本数が少ないことは確かです。また途中駅はすべて通過します。そもそも停まれる状態ではない区間もあるのです。
代行バスがやって来ました。こちらも亘理・相馬間同様に観光バスタイプの車両ですが、業者が違います。
代行バスの車両は浜通り交通という地元の観光バス会社のもの。亘理・相馬間とは異なり、JRバスでの運転ではありません。
この車両も本来なら観光や送迎用の貸切運転に使われるところ、JRの不通区間に投入されています。
竜田駅行きという簡単な行先表示。途中どこにも停まらないのですから、これで十分です。
しばらくバスを眺めていましたが、乗客が入っていくのはほとんど見かけません。まだ多少時間はありますが、写真を撮ってしまえば他にすることもないので、乗り込むことにしました。
閑散とした車内で前方の席を確保すると、運転士真後ろにあるテーブルにノートPCが設置されていました。空間線量率の測定に使われると思しきPCは、発車前のためか調整中の札が置かれています。
これから通る地域がどういう場所なのか、画面が語っています。
(参考)放射線総合医学研究所「放射線被ばくの早見図」(PDF形式)