高知から窪川方面に進むJR土讃線が佐川を過ぎると、いよいよローカル色が増してきます。その佐川から最初にある駅が、襟野々駅です。
駅があるのは、佐川方面から坂を上りきったところ。
その先の須崎方面は、カーブした線路が吸い込まれる山林のさらに先です。
駅前には乗用車がUターンできる程度の舗装と、小さな待合室があるぐらい。ここにかつて路線バスが走っていたのでしょうか。
単線に細い1本だけのホーム。土讃線でこれまでもよく見かけた棒線駅です。
ただふと見ると、ホームの下に階段状のコンクリートがありました。
いや、これは階段だったものとみられます。かつてはここを通って人々が乗り降りしていたのが、ホームを延ばす必要があったのか、あるいはバリアフリーの一環で、スロープに変える必要があったのか、ホームを改造した時に、そのまま残されたのでしょう。
いまや不思議な形をしたホームの支柱となった、襟野々駅の無用階段。
故赤瀬川源平氏の「トマソン物件」では「無用階段」に指定されるであろう物体ですが、「襟野々 無用階段」でググっても、それらしい結果は得られませんでした。
その名の元となったトマソン選手が忘れられ、赤瀬川氏も鬼籍に入られた今、襟野々駅の無用階段はこのまま眠り続けるのか、あるいは当ブログが検索に引っかかって、ネタ目当てで訪れる旅人がこれから現れるのか。
時間が解決するよりほかない謎を残したまま、襟野々駅を後にしました。
(参考)