サイハンビレグ・モンゴル首相の訪日と、日本・モンゴル間の経済連携協定(EPA)締結が話題となっているようですが(ひょっとしたら当ブログでも取り上げるかも知れません)、今回は表題通り、モンゴルのマンガが日本で賞を獲得したという話題を。
最優秀賞ですよ最優秀賞。しかもモンゴルからの作品では国際漫画賞受賞自体が初めてのことです。
ちなみに、第8回国際漫画賞には46の国・地域から317作品の応募があったそうです。2013年の第7回には53の国・地域から256作品が応募とのことで、今回は前回比で応募作品が約25%増ですから、これこそ快挙です。
となると、いったいどんな作品か気になる方もいらっしゃることでしょう。で、
読んだことがありません。
モンゴルの動向を追いかけていながら、マンガに関してはノーチェックでした。以前訪問した時に、日本の超有名アニメ(著作権がクリアできてるかどうか分からないので名前は伏せます)が放送されていたり、朝のニュースでモンゴルの同人マンガ家の特集があったりというのは見たのですが、実際の作品までは読んではいませんでしたし、そもそもどんな作品があるのかも知らなかったのです。いや、統計とか辞書とか買わないといけませんから、マンガまで買う余裕はいろんな意味で無くって…
ともあれ、今回の受賞は現地でも報道されているようですので、そこで情報を探ってみましょう。
Монгол зураачийн “Бумбардай” цуврал ОУ-ын шагнал хүртжээ | Өдрийн сонин
作者さん、日本のマンガ家にもいてそうな風貌ですね。
ともあれ、どういうことが書いているのか、かいつまんで述べますと、
・ 日本の外務省がマンガ文化を宣伝する政策として世界中から応募者を募って優秀なマンガ作品を選んでおり、今年はモンゴルの作者がグランプリを獲得。
・ 国際漫画賞はマンガ・コミックの文化・芸術を広め、国際関係や相互理解を発展させる目的で開催されており、モンゴルの作家ナンバラルィーン・エルデネバヤル氏が最優秀賞を獲得。
・ 氏のマンガは子ども向けに描いた点が他の作品とは異なる。作品は「ボンバルダイがアルガル(牛糞)*1取りに出かける」というタイトルで、ボンバルダイという名前の男の子の冒険に関するもの。(シリーズでは)全108巻となるこの作品は、日本の古都京都のマンガ博物館(たぶん京都国際漫画ミュージアムのこと)に所蔵されるとのこと。
・ モンゴル古来の文化や母と子の愛、近所づきあい、モンゴルの魔術に関して描かれた「ボンバルダイ」シリーズは、遊牧文化・文明がグローバル化しつつあるこの世界で残存し、後世に引き継がれ、自らの特徴を守り、(他の文化文明への)免疫をつけるという目的で2013年にスタートした。
・ 近日中に300万人目のモンゴル国民に捧げる作品を刊行するとのこと。
だそうです。なお、注とカッコ内は全て私が補ったものです。
いくつか表紙イラストが出てますが、日本のマンガチックというよりは劇画調ですね。モンゴルで見る絵本の表紙や広告、商品のイラストも似たような感じですし、この方が受けがいいのかも知れません。
ちなみに、「ボンバルダイ」はFacebookで公式ページがあります。日本語の翻訳もついているので、アカウントをお持ちの方は一度ご覧下さい。
Бумбардай комик цуврал - タイムライン | Facebook
タイトルには「ボンバルダイ・コミック・シリーズ ボンバルダイ全108巻コミック公式ページ」と書いています。
ここから余談ですが、今回調べた限り、モンゴルではマンガの作者を表すのに画家と同じ言葉(зураач)が使われていたことが発見でした。あと、マンガ・コミック・絵本の区別をモンゴル人がどうつけているのか、読んだ限りではいまいちよく分からなかったので、その辺も気になります(そもそもあいまいな気もしますが)。
あと、日本側の資料として国際漫画賞のサイトも調べたのですが、このエントリの執筆時点では受賞作がまだ示されていないという。もうちょっと力入れようよ。
*1:
湿度の低いモンゴルでは牛糞は急速に乾燥して臭いもほとんどなくなります。乾燥した牛糞は燃料に使えるほか、ゲル(テント)の床下に敷けば寒気避けにもなる優れモノなのです。